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2014年1月31日(金)

政治の根本的転換を 「戦争への歯止め」なくすな

山下書記局長の代表質問

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 景気・アベノミクス、雇用、震災復興、TPP(環太平洋連携協定)、集団的自衛権―。日本共産党の山下芳生書記局長は30日の代表質問で、民意に背く安倍晋三首相の政治姿勢を鋭く追及し、政治の根本的転換を迫りました。


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(写真)代表質問する山下芳生書記局長=30日、参院本会議

景気・アベノミクス

山下 格差拡大をどう認識

首相 労使協議まかせ

 山下氏は、「アベノミクスの成果」と景気の現状について楽観的な見方を示す安倍首相の認識をただしました。山下氏は、賃金の18カ月連続減少や非正規雇用の増大に加えて、預貯金ゼロの世帯が31%を超えていること(日銀の調査)など(表)を示し、「アベノミクスを通じて持てる者と持たざる者、大企業と中小企業の間で格差は一層広がり、経済の土台がむしばまれている」と指摘しました。

 首相は「低所得者の方々の生活に大きな影響がある」と認めながら、「労使間の協議で賃上げや非正規の雇用改善に向け議論され賃上げが実現することに期待する」と述べるだけでした。

 首相は「消費税率引き上げによる税収は全額、社会保障の充実・安定化に当てる」と繰り返し述べています。しかし事実は違います。消費税増税が強行される4月からも社会保障や年金の改悪メニューは目白押しです。

 山下氏は70歳〜74歳の医療費窓口負担の2倍化や年金給付減、介護改悪など、負担増と給付減は3兆円を超えると指摘。「社会保障の充実どころか、消費税増税のうえに社会保障まで削るのが真相だ」と批判しました。

 これに対し、首相は「受益と負担の均衡がとれた制度にする。昨年成立した社会保障プログラム法に沿って不断の改革を進める」と答え、社会保障切り捨て断行を明言しました。

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雇用

山下 人間らしく働けるルールを

首相 派遣法改悪を正当化

 「世界で一番企業が活躍しやすい国」を掲げる安倍政権。派遣労働の無制限の拡大や「限定正社員」など解雇しやすい雇用ルールの導入、「サービス残業」の合法化を狙っています。こうした下でも「雇用の拡大と賃上げにつなげる」と強弁する首相を、山下氏は「さらなる不安定雇用の増大と賃金の低下をもたらすことは明らかだ」と批判しました。

 その上で山下氏は、(1)大企業の内部留保を賃金に回す(2)中小企業への支援強化で最低賃金の抜本的な引き上げ(3)労働法制の大改悪を中止して人間らしく働ける雇用ルールの確立を提起しました。

 首相は内部留保活用で企業まかせの姿勢を示し、最低賃金の引き上げは「中小企業・小規模事業者の支援を工夫し、努める」と答えるだけ。労働者派遣法の改悪を「多様な働き方の実現を目指すものだ」と正当化しました。

震災復興

山下 全被害者へ等しく支援を

首相 まともに答えず

 東日本大震災から3月11日で3年。山下氏は、被災者の9割が仮設住宅などで避難生活を送る現状を示し、こうした住宅再建の遅れの原因を「『個人財産の形成になる』として、住宅の復旧に十分な支援をしないというやり方に政府が固執しているからだ」と批判しました。

 山下氏はその上で「この姿勢を改め、住宅と生業(なりわい)の再建に必要な公的支援を復興の基本に据えよ」と提起。しかし、首相は「タスクフォース(作業部会)を設置する」などと述べ、正面から答えませんでした。

 原発被害が今も深刻な福島では14万人近くが避難生活を送り、震災関連死は地震・津波による直接被害の死者を上回りました。

 山下氏は、昨年末に決定された政府の「復興指針」について「上からの線引きに対し、被災地の首長からも『地域の分断を招く』『支援策を差別すべきでない』との懸念と批判が相次いでいる」と実態を示しました。「原発事故前にどこに住んでいたかにかかわらず、避難している人も、していない人も、故郷に戻りたい人も、戻れない人も、すべての被害者がその生活と生業(なりわい)を再建できるまで、国と東京電力が責任をもって等しく支援することを大原則に据えるべきだ」と求めました。

 首相は、山下氏の提起にはまともに答えませんでした。

TPP

山下 どうやって「聖域」守る

首相 交渉脱退を拒否

 環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐって、米国では9日、上下両院の与野党幹部が、政府に貿易交渉権限を与える「大統領貿易促進権限(TPA)」法案を提出しました。

 山下氏はこの法案が農業分野について「相手国の関税を『米国の関税と同等かそれ以下の水準にまで削減する』と書かれている」と指摘。精米輸入では「米国の関税と同等かそれ以下の水準になれば、事実上ゼロになる。こうした条件がオバマ政権に課せられているもとで、どうして『聖域』が守られるのか。『守るべきものは守る』というなら、その根拠を示せ。根拠を示せないなら、TPP交渉から撤退する決断こそすべきだ」と迫りました。

 首相は「TPA法案は米国の国内法であり、コメントは差し控える」と答えるとともに、「最終段階を迎えるなか、交渉からの脱退に言及するのは不適切」と撤退を拒否しました。

集団的自衛権

山下 軍事力頼みは孤立化の道

首相 「報告書提出後に検討」と前のめり

 山下氏は、安倍内閣が昨年末に決定した新「防衛計画の大綱」で、オスプレイや水陸両用車の導入、米海兵隊のような「殴り込み」作戦を行う水陸機動団の編成を進め、自衛隊を海外に迅速かつ持続的に派兵する「統合機動防衛力の構築」を掲げたことに言及。この大綱は、歴代自民党政権が建前としてきた「専守防衛」さえ踏み外すものであり、「『軍隊をもたない』と決めた憲法をもつ国で、絶対に許されないことだ」と批判しました。

 安倍首相は「専守防衛」について「防衛の『基本方針』である」と述べ、これまで安全保障の「基本理念」としてきた位置づけを変え、事実上放棄したことを認めました。

 さらに山下氏は、安倍首相が集団的自衛権の行使容認に向けて検討を進める考えを表明したことをあげ、「日本を『米国と肩を並べて戦争できる国』にするため、憲法解釈を踏み越えようとするものだ」と強調しました。

 山下氏は、これまで集団的自衛権が日本政治で問題になってきたのは、日本の「自衛」と関係ない、米国が主導するイラクやアフガニスタンにおける戦争への参加要求だったことを指摘(表)。一方、憲法解釈が海外での戦争行動の歯止めになり、戦後68年間で1人の戦死者も出さないという世界に誇るべき歴史を重ねてきたことをあげ、「自衛隊員の血であがなう世界への関与を誇らしいと考えるのか。歴代政権が踏襲し、世界に説明してきた日本の立場を覆す権利は首相にも内閣にもない」と追及しました。

 首相は民主主義や基本的人権、法の支配の尊重には言及しつつも、平和主義にはふれないまま「平和国家としての歩みは今後も変わらない」と強弁。集団的自衛権については「懇談会報告書が提出された後に対応を検討する」と述べ、行使を容認し「海外で戦争する国」づくりを進める考えを示しました。

 山下氏は、東南アジアから対話と信頼醸成で紛争を解決する流れが広がっていることをあげ、「戦後の国際秩序に挑戦し、軍事力だけに頼るやり方は世界から孤立する道だ」と警告しました。

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