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2014年1月7日(火)

主張

安倍首相年頭発言

改憲への執念、決して許さず

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 年頭にあたっての「所感」で憲法「改正」にふれた安倍晋三首相が、年頭記者会見でも「憲法解釈の変更や改正に向け、国民的な議論をさらに深めていく」と主張しました。改憲への執念を示した発言として、軽視できないものがあります。安倍首相は昨年、国会が改憲案を発議する要件を緩和する96条の改定先行を持ち出し、世論のきびしい批判をあびました。同時に、歴代政府が憲法上認められないとしてきた集団的自衛権の行使に向け、憲法解釈を変更するための検討を進めています。首相が「議論を深める」というのはこうした策動を強めることです。

立憲主義も「法の支配」も

 衆参両院の3分の2以上の賛成で改憲案を発議するとなっている憲法96条の改定を先行する考えは、戦争を放棄した憲法9条であれ、基本的人権を保障した11条であれ、憲法改定をしやすくしようというものです。改憲をめざす政権に都合がいいよう96条の改憲を先行させるというのは、主権者である国民が権力の勝手な動きを抑える、憲法の「立憲主義」に反します。憲法自体への評価の違いを超えて96条改憲に反対の声が高まり、安倍政権も事実上中断に追い込まれているのは当然です。

 一方、安倍首相が進めようとしている集団的自衛権の行使を認めるために憲法解釈を変えようというのは、「立憲主義」の否定にとどまらず、憲法や法律にもとづいて政府が行動する「法の支配」の考え方そのものを否定する策動です。憲法が認めていないことを時の政権の勝手な解釈変更で認めてもいいとなれば、「法の支配」は失われ、憲法は空洞化してしまいます。

 安倍政権がねらう集団的自衛権の行使は、日本が直接攻撃されなくても同盟国であるアメリカが攻撃されれば日本もその戦争に参加する、「戦争する国」づくりそのものです。歴代政権の憲法解釈は、集団的自衛権の行使は「最小限の軍備」なら日本ももてるという自衛隊「合憲」論の建前にさえ反しており、認められないというものです。集団的自衛権の行使を認めるためその憲法解釈を変えようなどというのは、従来の政府の主張に照らしても許されません。それが通用すれば、「戦争する国」づくりの策動は歯止めがなくなります。

 安倍政権は発足以来、集団的自衛権の行使について検討する「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を再開して検討を続け、政府の憲法解釈を担当する内閣法制局の長官を首相の意にそった人物に交代させるなど、準備を進めてきました。懇談会は春以降報告書を公表する予定です。「国民的議論をさらに深めていく」という安倍首相のことばは、きわめて危険で切迫したものがあります。

「戦争する国」許さない

 安倍政権が進める「戦争する国づくり」の策動は、近隣諸国の反発だけでなく、同盟国アメリカにさえ懸念を広げています。安倍首相が昨年末、過去の侵略戦争を美化する靖国神社への参拝を強行したのに加え、集団的自衛権の行使など「戦争する国」づくりの策動を進めれば、日本の国際的孤立をいっそう深めるだけです。

 憲法の条文を変える明文改憲も集団的自衛権行使などの解釈を変える改憲も許さず、「戦争する国」づくりを許さないことが、国際社会で日本の立場を果たす道です。


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