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2013年9月28日(土)

安倍首相の国連総会演説 世界で特異な存在感示す

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 国連総会での各国首脳らによる一般討論演説で安倍晋三首相は26日、日本政府として「新たに積極的平和主義の旗を掲げる」と宣言し、「PKO(国連平和維持活動)をはじめ国連の集団安全保障措置に対し、より一層積極的な参加ができるよう図っていく」と言明しました。

「積極的平和主義」

 「積極的平和主義」は、首相が最近「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の会合などで言及し始めたもの。解釈改憲によって集団的自衛権の行使や海外での武力行使を可能にしようとする動きをオブラートに包み、日本国民や周辺国の批判を和らげるためにつくった概念です。内実は、日本国憲法の平和主義に背く、世界の紛争などへの軍事的関与の拡大です。

 「軍事介入が平和をもたらすと考えるのは幻想だ」―。同日の一般討論で初めに演説した中南米ガイアナのラモター大統領は、シリアの内戦に関し、こう述べました。スロベニアのパホル大統領も「政治的解決が唯一、現実的で長続きする」と訴えました。

 今回の一般討論演説では、シリア問題について各地域のさまざまな国が軍事力によらない解決を推奨、確認し合っています。

 これに対し安倍首相は、シリア問題で難民に対する人道支援は強調したものの、紛争の平和的解決の必要性には言及しませんでした。その背景にあるのは、軍事力の行使を中核にした「積極的平和主義」という、世界の平和の流れに逆行する考え方です。

「慰安婦」問題でも

 首相は演説の多くを女性問題に割き、「憤激すべきは、21世紀の今なお、武力紛争のもと、女性に対する性的暴力がやまない現実だ。犯罪を予防し、不幸にも被害を受けた人たちを物心両面で支える」などと述べました。旧日本軍「慰安婦」問題への国際社会の批判をかわす狙いとみられます。

 しかし、国際社会が「憤激」しているのは、かつて旧日本軍が行った組織的・系統的な「女性に対する性的暴力」=「慰安婦制度」への根本的な反省を欠き、被害者への公式謝罪と賠償をかたくなに拒否する安倍政権の姿勢です。

 「日本の存在感を示す」として国連総会に乗り込んだ安倍首相が示したのは、同政権が、世界の平和の流れや国際社会の常識に反する特異な存在であるということでした。(洞口昇幸=ニューヨーク、榎本好孝)


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