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2013年9月14日(土)

大震災2年6カ月 被災地は今 (3)

被害地域で人口減少続く

集落がなくなる

支援足しても再建遠く

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(写真)復興公営住宅は一部で完成し、入居が始まったばかりです=6日、岩手県大槌町

 東日本大震災の被害から復興をめざすうえで大きな被害を受けた市町村が人口減少という事態に再建を阻まれています。その背景にあるのは、住宅、産業と雇用、医療などの再建の遅れです。いずれも一自治体で解決できる問題ではなく、国の本腰を入れた支援が求められています。

2割近い減少も

 総務省調査をもとに、2011年3月末と今年3月末の人口を比べると、岩手県では大槌町19・3%、陸前高田市14・5%、山田町9・1%の減など。津波で中心部が壊滅的な被害を受けた自治体で人口が大きく減っています。

 「大槌に住みたいけど、住めない」。大槌町の元自営業の60代男性は、日本共産党の阿部俊作町議に涙ながらに語りました。男性は800万円かけて自宅をリフォームした矢先に被災。自宅再建の力はなく、復興公営住宅もまだ完成していないため、同県北上市の娘宅へ身を寄せています。阿部町議は、「家を再建するお金がない、土地がない、病院がなく不安だということで、内陸などへ移り住んだ方が多くいます」と話します。

 最大の問題は、住宅再建です。津波の浸水地域で町が行う土地の買い取りや被災者生活再建支援金などを足しても、再建費用に遠く届きません。復興公営住宅も入居が始まったばかりで希望者が入居できるまでには時間がかかります。

 同町小枕地区で自治会長を務めた三浦勝男さん(73)は、「70世帯のうち高台移転に応募しているのは10世帯だけ。多くの人が高齢で家を再建する力がありません。このままでは人のつながりが切れて、集落がなくなってしまう」と話します。

 町民の健康を支えてきた県立大槌病院が被災し、仮設診療所には入院機能がないなど医療への不安や、町内に安定した雇用が不足していることも、人口流出の要因です。

支援抜本強化を

 そうした中、住民や行政は事態打開に懸命です。町は、新しいまちづくりへ向けて独自の努力をしています。被災者の住宅再建に対する町独自の助成を今年度、150万円から200万円に引き上げました。被災者に限らず町外から転入して住宅を建設する人にも100万円を助成しています。

 漁業の担い手育成のため、引退した漁師が養殖技術を指導し、若者の定着をはかる「漁師学校」も計画中です。

 碇川豊町長は、「土地、資材、職員不足に難儀する中で、集団移転や公営住宅建設など基本的な事業を進めてきました。これから生業の再生、まちづくりに全力をあげたい。国は被災地の現状を国難ととらえて取り組んでいただきたい」と訴えます。

 日本共産党の斉藤信県議団長は語ります。

 「住宅、生業・雇用、病院の再建の遅れが重なり、転出を余儀なくされる人が増えています。被災者が希望を持てるようにすること、特に持ち家再建の支援が大切です。大槌町のように独自に努力しているところもありますが、国は生活再建支援金の大幅拡充など支援を抜本的に強めるべきです」(つづく)


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