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2013年6月3日(月)

イラク「宗派対立」

5月死者1000人超に

国民がテロの標的に

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 【カイロ=小泉大介】国連イラク支援派遣団(UNAMI)は1日、テロなどの暴力を原因とするイラクの死者が5月は1045人に達したと発表しました。過去5年間で最悪の712人が死亡した4月をさらに大幅に上回ったことは、「宗派対立」をつくりだした米軍による戦争と占領の破たんをまざまざと示しています。

 国連のコブラー・イラク担当特使は1日の声明で、5月の死者数について「悲しむべき記録である」と述べるとともに、「イラクの政治指導者たちは、この耐え難い流血の事態を止めるために直ちに行動しなければならない」と訴えました。

 バグダッド大学のハッサン・ファイヤド政治学部長は本紙の取材に対し、「イラクではいま、宗派を問わずすべての国民がテロの標的にされている状況です。国内の政治・武装勢力の対立に周辺諸国からの介入が加わり、さらに政府がこれに何ら手を打っていないことが事態を悪化させています」と指摘しました。

 イラクでは従来、イスラム教スンニ派(人口の約2割)武装勢力による同教シーア派(同約6割)住民への攻撃が治安悪化の主な要因でした。しかし最近は逆のケースも頻発し、過去2カ月だけで2000人近くが死亡するまでに「宗派対立」は激化しています。

 イラクの男性ジャーナリスト、サバハ・ディプス氏は本紙に「暴力激化は米占領の犯罪性を証明するものです。占領は米国とイランの利益を代弁するシーア派のマリキ政権の独裁的政治をもたらし、隣国シリアと同様の対立構図をつくりだしてしまいました。国民はいま、極度の恐怖と不安のなかでの生活を強いられています」と強調しました。

 暴力激化を受け、マリキ首相は治安責任者の入れ替えなど対策強化に乗り出していますが、効果はまったく上がっていません。スンニ派の有力政治家であるヌジャイフィ連邦議会(国会)議長は、「イラクは崩壊の危機にあり、内戦の瀬戸際にある」(1日の会見)と警告しています。

 ファイヤド氏は「状況を改善するには、すべての政治勢力が現実を直視して国民的対話に取り組むこと、さらに早期総選挙を実施して、改めて国民の信を問うことが最低限必要です」と語りました。


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