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2013年5月5日(日)

障害者支援法

難病患者へのサービス 利用が広がらない

対象者に周知徹底必要

東京23区本紙調査

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 4月から障害者総合支援法が施行され、難病患者にたいして居宅介護や補装具、日常生活用具の給付など障害福祉サービスの利用が可能になりました。施行から約1カ月。東京23区でサービス利用状況を本紙が調べたところ、各自治体が周知徹底できず、新規の申請がごくわずかである実態が浮かび上がりました。(岩井亜紀)


図

 新たに対象となる難病は130疾患。対象者数は約750万人(厚生労働省調査)です。

 これらの患者は同法施行前、市町村の裁量で行う事業を受けられました。そのうちホームヘルプサービス事業はわずか146市町村、日常生活用具給付事業は285市町村のみの実施でした(2010年度)。

 総合支援法は全自治体が実施します。ところが、本紙取材によると、23区全体で新たな申請者はわずか7人(4月25日現在)。「患者数や実態がつかみづらい」(世田谷区)など対象者について各区とも把握できていません。

 申請者がほとんどいない背景に、周知の不徹底があります。

 19の区は3月から4月中旬にかけて、区報に掲載しましたが、四つの区はいまだに広報していません。(表参照)

 練馬区は3月1日付区報に掲載。詳細は福祉事務所と保健相談所に行くよう促したほか、これらの事務所に案内のチラシを置いています。また、民生委員の定期会議で、同法の要旨を説明しました。

 新宿、世田谷両区は、区報に掲載した上、チラシを福祉事務所や保健相談所に置き、各区の医師会を通して医療機関にも配布しました。

 チラシを作成し配布した区は、わずか9区にとどまります。(同表)

 広報の重要な手段の一つ、ホームページについて約半数の区は、更新すらせず、従来の障害者自立支援法の説明画面のままです。

 更新されているものの、「障害福祉」などの項目から接続しないと「障害者総合支援法」にたどり着かない区がほとんど。中には、担当者ですら容易にたどり着けない場合もありました。

 患者の多くが接続する「難病」という項目や、難病に関する「健康・医療」などから接続するようにしないと、患者は知ることができません。

 区報にもホームページにも掲載せず、チラシもないのは荒川、台東両区でした。

 周知が徹底できていない理由に、体制の整備が間に合っていないことがあります。「事業者が患者を受け入れ可能かどうかはっきりしない状況だ」(大田区)といいます。

 厚労省が都道府県を対象に説明会を開いたのが2月12日。都道府県はその後、実施主体である市区町村に注意事項などを説明しています。

 患者から相談を受けている渋谷区の日本共産党の田中まさや区議は「わずか1カ月あまりでは自治体の準備は間に合わないだろう」と話します。

 田中区議は「対象となる難病患者がどこに何人いるのか行政が把握することは困難だ」と指摘。その上で、「だからこそ、徹底した周知を図らなければ、必要としている人に情報が届かない」と強調します。


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