2013年2月24日(日)
連続爆弾テロに抗議デモ
「貧しい生活者が犠牲に」
インド南部
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【ハイデラバード=安川崇】21日の連続爆弾テロで16人が死亡したインド南部の都市ハイデラバード。傷痕が生々しい現場周辺では、多くの人たちがろうそくをともして行進し、市民に向けられた暴力に怒りの声を上げていました。
発生から丸1日がたった22日午後7時。現場の飲食店前には割れたガラスや揚げ物用のバーナーなどが散乱し、フレームがゆがんだバイク4台が並んでいました。
4階建てのビル壁面のガラスはほとんど割れ、ずたずたになった看板が垂れ下がっており、爆発の威力を感じさせます。
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隣の装飾品店主(58)は当時路上にいましたが、配電設備(高さ約1・5メートル)の陰に入るかたちで爆風の直撃を免れました。
「ものすごい音がして煙と火が大きく上がり、頭に何かが降りかかってきた。10人ほどが倒れていた。右耳は今も聞こえない」
この日、市内ではテロに抗議するデモが各所で発生。記者が現場にいた約2時間の間に、ろうそくを掲げた100人前後のデモ隊が四つ到着しました。
参加者は「暴力をやめろ」「テロ打倒」などのスローガンを叫びます。IT技師のアショク・レッディさんは「テロの目的が何であれ、犠牲になるのは貧しい生活者たちだ」と憤っていました。
事件の実行者について政府は明言を避けていますが、イスラム過激組織の関与を疑う声が強まっています。
ハイデラバードは歴史的にイスラム文化の影響が強く、多数派ヒンズー教徒に近い規模のイスラム教徒が住みます。
この街では近年、繰り返し爆弾テロが発生。2007年5月にはイスラム礼拝所での爆発で11人が死亡、同8月にはヒンズー教徒の多い地域が襲われ44人が死亡しました。
「イスラム、ヒンズーの過激組織が報復を繰り返しているとみられる。一般の両教徒の関係はおおむね良好だが、事件が続くと確執が生まれないかという懸念もある」
地元テレビTV9の犯罪取材部門責任者は語ります。
一方、現場近くにいたイスラム教徒のタクシー運転手アリ・ベイグさんは「テロは宗教に反する。私たちは異教徒の隣人と一緒に暮らしてきたし、これからもそうしていく」と話していました。