2013年2月15日(金)
犯罪予防を重点に
メキシコ 新大統領が治安対策
【メキシコ市=松島良尚】昨年12月に就任したメキシコのペニャ・ニエト大統領は12日、犯罪の予防を重点とする「暴力と犯罪の社会的予防国家計画」を発表しました。
同国では、カルデロン前政権が軍を動員して麻薬組織の鎮圧にあたりましたが、解決の兆しが見えないまま、死者は民間人も巻き込んで5万人を超えています。
ペニャ・ニエト大統領は、軍の合法的な活用は必要としつつも、「それだけでは問題は解決しない。犯罪の社会的予防に特別の重点をおかなければならない」と述べました。
新たな対策は、学内暴力と家庭内暴力、麻薬中毒の予防、行動および学習状況の異変の早期発見の四つの戦略にもとづいています。
また、社会、経済、教育、医療など各分野にまたがる総合的な対策を進めるため、九つの省が共同する委員会を設置。内務省が調整します。当面は治安悪化が激しい100自治体に焦点をあてます。
オソリオ・チョング内相は、「青少年を犯罪組織に向かわせないことが主眼だ。この対策をどう適用するかをそれぞれの地域と相談しながら推進することが軸になる」と述べています。
メキシコ国立自治大学経済研究所のアナ・エステル教授は本紙に、「前政権は軍の投入にあたって、地方自治体や地方警察の意向を軽視してきた。そのため、中央政府と地方政府の間、また、中央政府内でも、権力関係が大混乱している。新政権はそれを再構築していくことになる」と指摘しています。