「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2013年1月26日(土)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 アメリカの宇宙探査機ボイジャー1号はいま、太陽圏の果てに近づいています。ボイジャーは、世界各地の音楽を記録した盤を載せています▼地球外の知的生命体にきいてもらい、「銀河文明」の一員に入りたい人類の望みを彼らに伝えるためです。27の楽曲に、バッハ作品が三つあります。1人の作曲家の曲数でいちばん多い▼さすがバッハ。チェロ奏者カザルスは語りました。「バッハはあらゆる高貴な感情の深奥に到達した」。ボイジャーは携えていませんが、1890年に13歳のカザルスが楽器店で楽譜を発掘した無伴奏チェロ組曲も名曲中の名曲です▼いま97歳のチェロ奏者、青木十良(じゅうろう)さんは80を超えバッハの組曲の録音に挑み始めました。96歳までの彼の数年間を撮った映画「自尊を弦の響きにのせて」は、組曲4番の録音への道のりを記録します▼映画で、穏やかな青木さんが話します。「私、表面は円いが心の中は不協和音だらけ」。幼くして両親を亡くし、すさんだ青春時代を送った青木さん。やがて「いい音楽、いい音は、誰もがもつ心の傷を治せる」と信じ、たどりついた境地がエレガンスです▼たんなるおしゃれとかではなく、自分を信じ他人を尊ぶ「自尊」の意味のこもるエレガンス。映画でバイオリン奏者の森悠子さんは、青木さんの演奏を「自由の方に向かって宇宙の音をだすように遊泳する」と評します。もし地球外の生命体が青木さんのバッハをきけば、きっと思うでしょう。「友だちになってよさそうだね」と。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって