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2012年12月24日(月)

主張

トンネル総点検

公共事業のあり方が問われる

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 山梨県内の中央自動車道・笹子トンネルで、コンクリート製の天井板が崩落した事故をきっかけに、全国でトンネルの総点検や、天井板撤去などの緊急工事が始まっています。9人が死亡した重大事故は、老朽化した社会資本の維持管理や安全対策などの重要性を浮き彫りにしました。予算の使い方はもちろん管理運営の「民営化」など、公共事業のあり方そのものが問われています。

老朽化が急速にすすむ

 笹子トンネルの事故原因は調査中ですが、老朽化したトンネルの「つり天井」で、天井板を支えるボルトなどが劣化した可能性が高いとみられています。全国のトンネル総点検で同じ構造の「つり天井」が各地で確認され、とくに道路公団が「民営化」して以降、安全点検や危険な「つり天井」の撤去が遅れていることが浮き彫りになりました。

 これまでの自民党型政治のもと、国の社会資本整備は、高速道路や新幹線、空港、ダム、港湾などの大型公共事業を、国家的プロジェクトとして推進してきました。1950年代から60年代の「高度経済成長」期を中心に建設されたこれらの公共建造物の多くが、建設後40〜50年以上が経過し、老朽化が急速にすすんでいます。東名や名神、中央、首都高など高速道路の多くも、建設から長い年月がたち、老朽化が目立っています。一般の道路や橋なども老朽化が問題になっています。

 社会資本の老朽化がすすむ一方で、維持管理や補修などの対策は後回しにされてきました。道路・港湾などの新規建設費用は1990年代に入り10兆円を突破、95年度には13・8兆円にまで膨れ上がりました。それに対し、維持管理・更新は4兆円台が続きました。

 維持管理が後回しにされてきた背景には、自民党型政治がすすめてきた大企業・ゼネコン奉仕の公共事業政策があります。採算の見通しがない高速道路や、使う見通しのない空港や大型港湾施設も、つくりさえすれば大企業や大手の建設会社はもうかります。ところが建設したあとはそれに見合う収入がないため、維持管理や更新が後回しにされる仕組みです。

 それに加えて、道路公団の「民営化」など社会資本整備への国の責任を投げ捨てる政策が拍車をかけます。2005年に自民・公明政権が推進した道路公団の「民営化」の際、管理コストの3割削減の義務付け、検査・補修の規定緩和などが行われました。笹子トンネルを管理することになった中日本高速道路の場合も、天井板をつるすボルトの腐食が進行していたのに、補修や改修を先延ばしにし、日常的な点検もずさんだったことが明らかになりました。

安全最優先の体制を

 もうけ最優先の「民営化」など、経営よりも安全を軽視する体制は早急に改められるべきです。老朽化とともに耐震化の遅れなども大問題です。新設よりも維持管理や更新を優先させるべきです。

 週明け早々に政権を発足させる自民党は、「国土強靭(きょうじん)化」と称して、「10年で200兆円」の公共事業を主張しますが、中身は相変わらず高速道路や大型港湾施設の建設が中心です。“総額先にありき”ではなく、国民生活に密着した、防災対策や老朽化対策こそ最優先すべきです。


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