2012年11月17日(土)
「里帰りと仲直り」に客席から安堵の拍手
スー・チー氏訪印
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「インドが、私たちの最も困難な時期に離れていったのは悲しいことだった」―。ミャンマーの最大野党・国民民主連盟(NLD)のアウン・サン・スー・チー議長が14日、25年ぶりに訪問したインドの首都ニューデリーでの講演でこう語りました。
インドはスー・チー氏が率いる民主化運動を支持していましたが、同氏が自宅軟禁下にあった1993年ごろから軍政側との連携に転換したとされます。
スー・チー氏は60年代、外交官だった母の赴任に伴ってインドで過ごし、ニューデリーの大学で学びました。インドの独立運動指導者ガンジーや初代首相ネールに影響を受けたと繰り返し語っています。
スー・チー氏が「思い出の地」インドに裏切られたと考えていないか。この間の報道にはこんなインド側の懸念がうかがえます。
スー・チー氏はこの日の講演で、「だが失望に浸っても意味はない。政府は次々に代わる。人と人とが結びついてこそ、友好関係は続く」とも語りました。ネールのひ孫にあたるラフル・ガンジー国民会議派幹事長や閣僚、司法幹部らが居並ぶ客席から、大きな拍手が上がりました。
また同氏は「私たちはまだ民主化のゴールに到着してはいない」と述べ、インドにミャンマー民主化への支援も求めました。
「里帰りと仲直り」―。主要紙タイムズ・オブ・インディア(15日付)は今回の訪問をこう表現しました。客席からの拍手は、安堵(あんど)の拍手だったのかもしれません。(ニューデリー=安川崇 写真も)