2012年9月12日(水)
使用済み核燃料などの処理
「国の計画白紙に」
日本学術会議
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全国の原発で発生する使用済み核燃料や再処理後の高レベル放射性廃棄物について、日本学術会議は11日、地下深くに埋めて処分する現在の国の計画は行き詰まっており、「白紙に戻す覚悟で見直す必要がある」として、原発の廃止などによる長期的な「総量管理」と「暫定保管」制度の導入を柱とする提言書をまとめました。国の原子力委員会の審議依頼に対する回答として、大西隆会長が近藤駿介委員長に手渡しました。
原子力委は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故前の2010年9月に審議を依頼。最終処分地の選定が進まない状況を打開するため、より良い説明や情報提供方法の提言を求めていました。
しかし、提言書は事故後、原子力政策の社会的合意がないまま最終処分地選定を進めるのは本末転倒だと指摘。さらに高レベル廃棄物を地下300メートルより深くに埋設する「地層処分」の前提として、地震や火山が活発な日本で、万年単位にわたって安定した地層を確認することは現在の科学的知識と技術的能力では限界があるとし、根本的見直しを提言しました。
暫定保管は、使用済み核燃料や高レベル廃棄物を後から回収できる深さに、数十年から数百年保管します。その間に、放射能を弱くする「核種変換技術」や極めて頑丈な容器を開発するとしています。
暫定保管場が、なし崩しに最終処分場にされないよう、あらかじめ次の候補地を決めて期限が来たら廃棄物を移すことも提言しました。
高レベル放射性廃棄物 原発の使用済み核燃料から再利用可能なウランやプルトニウムを取り出した後の廃液を、ガラスに混ぜて固めたもの。表面線量は毎時約1500シーベルトと人間がほぼ即死するほどの高さです。昨年末時点で、ガラス固化体は青森県六ケ所村と茨城県東海村の施設に、計1780本保管されています。国内には他に、固化体約2万4700本相当の使用済み核燃料があり、各原発が再稼働すると、燃料プールが近い将来満杯になる恐れがあります。