2012年8月11日(土)
きょうの潮流
ボルト選手、強い。ロンドン五輪で、100メートルに続き200メートルも、次元の違いをみせつけて優勝です▼0・0X秒の差を競っても、ボルト選手の走りぶりやとぼけた表情は、一けた大きい0・X秒を争っているように感じさせます。時間の感覚は、時と場合や人によって違います。明治期に日本へ来たあるアメリカ人は、「のん気な日本流」を詩に詠みました▼「『すぐに』が一週間のことをさす」「時計の動きは てんでんばらばら」「お日さまでさえ戯れに 時計をまねて/好きな時刻に顔をだす」(西本郁子著『時間意識の近代』)。時間に追われる今の日本からは、想像できません▼「『近いうちに飯を食う』といったら、2週間かそこら」。自民党の麻生元首相の話です。民自公3党首の合意、「近いうちに国民に信を問う」について解説してみせました。しかし、「『近いうち』にこだわらない」とは民主幹事長。「近いうち」をめぐり、3党の政治家の間であの詩のように「時計の動きは てんでんばらばら」です▼党利党略の思惑違い。しかし、3党は消費税の大増税で組み、法案を通しました。増税大連合。無駄づかい大連合でもあります。増税でお金を浮かし、公共事業のばらまきへ。「防災」に名を借りますが、増税・無駄づかいのため震災の悲しみを利用するとは…▼「近いうちに」は、流行しそうです。ことしの流行語大賞が決まるころを待たず、政治の風景をどう変えてゆくか。人々のがまんの時間にも、限りがあります。