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2012年5月31日(木)

主張

ギリシャの選択

緊縮でもユーロ離脱でもなく

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 ユーロ危機の行方を左右する再選挙を6月17日に控えたギリシャで、緊縮推進派と反対派とがつばぜり合いを演じています。過酷な緊縮策を受け入れてユーロ圏にとどまるのか、拒否して離脱するのか、有権者はまるで「二者択一」を迫られているかのようです。

 そのどちらの道も、ギリシャをはじめ欧州の国ぐにの国民に深刻な打撃をもたらします。ギリシャがユーロ圏にとどまりながら、国民犠牲の緊縮一辺倒でない方策を見いだすことが肝心です。

国民もEUも戸惑い

 ギリシャ国民の戸惑いが世論調査に表れています。6日の総選挙では、緊縮反対を掲げて支持を広げた急進左翼連合が第2党に躍進しましたが、再選挙突入後は緊縮推進の新民主主義党が盛り返しています。緊縮は反対でも、想像を超える困難が待つユーロ圏離脱は避けたいとの思いがあります。増税と社会保障切り下げ、公務員削減、国営企業の民営化と規制緩和などの緊縮策で、国民生活はゆきづまり自殺が増えています。

 そのさなか、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事がギリシャ国民を「税金逃れ」と批判し、猛反発を呼んでいます。IMFと欧州連合(EU)執行機関の欧州委員会、欧州中央銀行の3者による緊縮策が、危機の責任をギリシャ国民に負わせるものであることを、発言は示しています。ギリシャ国民を脱税だの怠惰だのと非難し、さらなる負担を押し付けても問題は解決しません。

 戸惑いはEUにもあります。ギリシャが緊縮を受け入れても、国民生活が破綻しては混乱は収まらず、財政再建もありません。単一通貨ユーロが加盟国の離脱を想定していないもとで、離脱の衝撃は南欧の国々にも及び、欧州の亀裂を広げ、ユーロ自体が揺らぎます。世界的にも影響は避けられません。離脱が現実的な選択肢でない以上、危機を乗り越えるためにEUも変わる必要があります。

 不可欠なのはギリシャ経済の持続可能な再建プランです。急進左翼連合は緊縮策に反対する一方でユーロにとどまると表明し、ドイツ左翼党と共同で22日に発表した危機脱出の提案で、融資条件の再交渉を求めています。EUの主要国などは再交渉に否定的ですが、新たな出口を見いだすには交渉が避けられません。

 提案の一つが国家財政を振り回している金融への対策で、財政を市場の支配から切り離すとともに、金融取引税の導入などによって投機を抑える効果的な規制を求めています。国内では、弱者へのしわ寄せではなく、高額所得者への課税強化や実効的な徴税が必要だと指摘しています。

共同債の導入に支持

 ギリシャをユーロ圏にとどめるには欧州の経済統合が進まなければなりません。当面の困難に対処するうえで有効とみられるユーロ共同債の導入もその一環です。ユーロ圏17カ国が共同で発行する共同債には、低利で資金調達できるドイツのメルケル政権が強く反対していますが、EU全体では導入支持が強まっています。

 緊縮政策には「自己責任」を迫る新自由主義が反映しています。欧州が連帯を強める方向で統合を進めるには、新自由主義を克服することが必要で、その点でもギリシャ国民の選択は重要です。


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