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2012年3月19日(月)

嘉手納以南の米軍5基地

県民欺く「先行返還」

グアム移転・県内「移設」が条件

「数年できかない」先行き不透明

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 沖縄の米軍普天間基地「移設」問題の「こう着状態からの脱却」(野田佳彦首相)を目指し、日米両政府が協議を進めている在日米軍再編計画見直し―。野田内閣は、米軍嘉手納基地以南の5基地の土地返還(図参照)を「先行実施」すると宣伝し、沖縄の本土復帰40年となる5月にも具体策を発表しようとしています。しかし、実際の返還は「海兵隊のグアム移転後、数年ではきかない」(外務省筋)とされ、先行きは不透明です。(榎本好孝)


「テコ論」を転換

写真

(写真)市街地の真ん中を占拠するキャンプ瑞慶覧(沖縄県北谷町)

 日米両政府は2月8日の「共同報道発表」で、在沖縄米海兵隊のグアム移転とその結果生じる嘉手納以南の土地返還の両計画を、普天間「移設」計画の進展から「切り離す」方向を打ち出しました。

 それまでの在日米軍再編に関する日米合意(2006年)では、この三つの計画は「統一したパッケージ」とされていました。「普天間の移設を進めれば、嘉手納以南の土地返還も行うし、グアム移転も行うという、ある意味、圧力をかけているようなやり方」(玄葉光一郎外相)で、「テコ論」などと公言されていました。

 こうした「圧力」にもかかわらず、普天間「移設」は、沖縄県民の反対の総意の前に、「こう着状態」に陥りました。このため今回、パッケージを切り離し、「沖縄の負担を先行的に軽減していく」(同外相)として、嘉手納以南の土地の「先行返還」を強調。その上で、普天間「移設」について「沖縄の理解を得る」という戦術に方向転換したのです。

歴史が証明済み

 しかし今後、嘉手納以南の土地返還協議がスムーズに進む保証はまったくありません。

 日本共産党の赤嶺政賢議員が衆院予算委員会の質問(2月17日)で明らかにしたように、パッケージを切り離すといっても、嘉手納以南の土地返還には、(1)グアム移転(2)返還対象5基地の機能の沖縄県内での「移設」―という二つの大きな“ハードル”があるからです。

 嘉手納以南の土地返還の前提であるグアム移転は現在、国防費の大幅削減を求める米議会が経費支出を禁止。移転規模や財政負担などをめぐり、日米間の協議も難航しています。キャンプ瑞慶覧(ずけらん)にある第1海兵航空団司令部(約1500人)は移転先が見つからず、沖縄残留の可能性も出ており、同基地返還の大きな障害になりそうです。

 基地の「返還」に移設条件が付けば、いつまでも動かない―。このことも、沖縄の基地の歴史が証明済みです。

 普天間「移設」の行き詰まりはその最たるものです。返還対象5基地のうちの一つ、那覇軍港は1974年に日米が移設条件付きで返還合意しましたが、今日に至るも実現していません。

 玄葉外相は、返還対象の牧港補給地区についても、現在ある住宅や倉庫を移設する必要があると述べています。同地区では、日本政府の「思いやり」予算で整備された家族住宅は981戸(約357億円)、倉庫は5棟(約52億円)に上ります(1978年度〜2011年度)。これだけの施設を「移設」するのは容易ではありません。

無条件撤去こそ

 加えて、第1桑江タンク・ファームは「普天間に燃料を送っている」(玄葉外相)施設です。そもそも、普天間「移設」の前に「先行返還」できるのか、重大な疑問が生まれています。

 普天間「移設」の「こう着状態」から脱却するには何が必要か―。それは、現行の普天間「移設」計画を「唯一有効な進め方」(共同報道発表)とする立場を見直し、「移設」ではなく、無条件撤去の道に踏み出す以外ありません。

図:沖縄の米軍再編計画

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