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2012年3月4日(日)

脳脊髄液減少症の治療費

長野 飯綱町独自に助成

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 長野県飯綱(いいづな)町(人口約1万2千人)は、2年前から中学3年までの子どもを対象に、脳脊髄液減少症の治療費の助成制度を実施。現在、公的医療保険の適用外であるこの病気の治療への自治体独自の支援は全国でも珍しく、注目されています。


 飯綱町が治療費への助成制度を始めたきっかけは、同町の中学生が脳脊髄液減少症を発症し、支援の要請があったことでした。2009年8月、野球部の2年の男子が試合中に選手同士の衝突で転倒。男子はその後、頭痛、疲労感などのつらい症状に苦しみました。いくつもの病院を転々とした後、翌年2月に東京の専門病院で診断が確定、脳脊髄液の漏れをふさぐブラッドパッチ治療を受けました。

保険適用外

 この病気は現在、厚生労働省の研究班が診断・治療指針づくりにとりくんでおり、治療には公的医療保険が適用されていません(10年4月以降、検査は保険適用に)。

 男子の担任だった宮川佳幸さんは、3泊4日の入院で約30万円が全額自費という医療負担の重さに驚きました。「町としてなんとか援助できないか」と校長、男子の母親とともに教育委員会に相談しました。日本共産党の伊藤まゆみ町議も町に働きかけました。

機敏な対応

 こうした声に町は機敏に対応しました。10年4月以降、子どもの医療費無料化を中学校卒業まで引き上げたことを背景に、「福祉医療費給付制度」についての条例を一部改定。脳脊髄液減少症について医療保険が適用されたとみなし、治療費の3割を町が負担することを決めました。

 母親は、「助成が決まったときは、すごくうれしかった。当時、この病気の存在自体を否定する医師もいたなかで、町が病気の存在を認めて助けてくれる。精神的な面でもありがたかった」と振り返ります。同年5月に受けた2度目のブラッドパッチ治療にたいし、2万2千円余の助成が行われました。

 昨年は同じ中学校の剣道部だった2年生の男子がこの病気を発症し、治療費にたいし3万円余の助成を受けました。男子の母親は、「医療費だけでなく、遠方の病院への交通費や親の宿泊費など大変です。3割分でも助成はすごくありがたい。こうした支援がほかの地域にも広がってほしい」といいます。

 同町保健福祉課の鶴田ひろみ課長は、「必要なことについては国の対応を待つのでなく、町としてできる最大限のことをしたいととりくんでいます。支援は病気のことを広く知ってもらう機会にもなります」と話します。町ではホームページで病気や助成制度を知らせています。 (西口友紀恵)


 脳脊髄液減少症 転倒や交通事故、スポーツ外傷などで受けた衝撃により脳脊髄液が硬膜外に漏れ、減少することで起こる病気。頭痛やめまい、倦怠(けんたい)感など症状は多彩。原因不明の場合もあります。


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