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2012年2月10日(金)

「君が代」強制反対訴訟

教職員上告を棄却 最高裁

「憲法19条違反の可能性」の意見

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(写真)最高裁判決を受け記者会見する原告団=9日、東京・司法記者クラブ

 卒・入学式で「日の丸」に向かった起立と「君が代」の斉唱などを強制する東京都教育委員会の通達(10・23通達)は違憲違法だとして、都立学校の教職員ら375人が都教委などを相手に、起立斉唱の義務がないことの確認や処分の事前差し止めなどを求めた訴訟(予防訴訟)の上告審で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は9日、教職員らの上告を棄却しました。

 同訴訟では、処分の事前差し止めや起立斉唱義務の不存在確認を求める訴えが、訴訟要件を満たすかどうかが一つの争点でした。

 判決は、職務命令に従わないことを理由にした処分の事前差し止めについて「事後的な損害の回復が著しく困難」だとして、請求すること自体は適法だと判断。起立義務の不存在確認の請求についても適法としました。

 しかし、通達やそれにもとづく起立斉唱などの職務命令については、これまでの判決を踏襲して「合憲」と判断。通達などの違憲を理由とした処分事前差し止めと義務不存在の確認は退けました。

 5人の裁判官のうち宮川光治裁判長が職務命令は思想良心の自由を保障した憲法19条に違反する可能性が高いとし、事前差し止めと義務不存在確認を認める反対意見をのべました。

 一審東京地裁は2006年、通達とそれにもとづく都教委の指導を違憲と判断、教職員に起立斉唱などの義務はなく、不起立などを理由に処分をしてはならないとしました。二審東京高裁は昨年これを取り消し、請求そのものが適法でないとして却下していました。


「通達撤回まで運動」 原告団

 上告を棄却する最高裁判決を受けて原告団は9日、都内で記者会見を行いました。

 「本来、少数者の権利を守るのが司法の役割だ。何のために司法があるのか」と判決を批判した原告の永井栄俊さん。「私たち教員は一人ひとりの生徒と向き合い、自分なりの教育方法をつちかってきた。命令によって動かす10・23通達は、私たちがやってきた教育とは相いれない」

 原告の川村佐和さんは「権力が人の心に踏み込むことを許した判決。教員は組織の歯車の一人として駆り立てられ締めつけられている。こんな状況をつくった10・23通達を認めることはできない」と批判し、通達が撤回されるまで運動を続ける決意を表明。原告の加山みどりさんは、「都立学校に通う自分たちの子のためにも、教育公務員の良心に抗うことはできずに訴訟を起こした」と、提訴当時の切実な思いを語り「10・23通達は国や都に無条件に従うことを押し付ける不当なものだ」と批判しました。

 加藤文也弁護士は、判決は厳しく批判されるべきだとしながらも、1人の裁判官が反対意見、3人の裁判官が補足意見を述べたことに関して「今の都の異常な状態を解決するよう求めている。都にもこの判決の趣旨をふまえた対応をしてほしい」と語りました。


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