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2012年2月7日(火)

注水量増も一時73.3度

福島第1原発2号機圧力容器

東電、具体的説明なし

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 東京電力は6日、温度の上昇が続いている福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)2号機原子炉圧力容器底部の温度計について、注水量を増やした後も指示値が上昇し、同日朝一時73・3度になったと発表しました。温度の上昇が始まってから最も高い温度です。


 東電によると、問題の温度計は1日夜時点で52・0度でしたが、上昇が続き、5日午後4時に71・7度を記録。冷却水の注水量を毎時1トン増やした後の5日午後11時時点でも70・3度だったため、東電は6日午前1時29分、注水量をさらに毎時1トン増やし同10・6トンにしました。しかし、6日午前5時の時点で70・6度とさらに上昇、同午前7時には73・3度となりましたが、同午前10時には70・5度に戻り、午後5時には69・2度に下がったといいます。

 6日午前に記者会見した東電の黒田光・原子力設備管理部課長は温度計の故障であれば違う値を示すとして、故障ではなく、実際に温度が上昇している可能性が高いとの見方を示しました。

 経済産業省原子力安全・保安院は6日、溶けた状態の燃料が再臨界を起こさないようホウ酸を加えるなどしながら注水量を増やす検討を進めるよう東電に求めました。

 6日午後に記者会見した東電の松本純一原子力・立地本部長代理は、2号機格納容器内のガスを採取し分析した結果について説明。燃料が再臨界を起こした場合濃度が上昇するキセノン135の濃度は1立方センチ当たり0・1ベクレルの検出限界以下で、再臨界は起きていないと述べました。

 そのうえで、燃料に対する水のかかり方が変わったために温度が上昇しているとして、注水量をさらに増やすことを検討するとしました。しかし、圧力容器内で現在、燃料がどうなっているかについては具体的に示すことはできませんでした。

解説

「収束」のまやかし示す

 6日午後の記者会見で、原子炉圧力容器底部の温度が上昇していることについてどう見ているか問われた東電の松本純一原子力・立地本部長代理は、「圧力容器内部の状況はわからない」と繰り返しました。その一方で、昨年末、政府と東電が達成したとする「冷温停止状態」の認識に変化はないと強調しました。

 政府と東電が冷温停止状態と判断した理由の一つは、原子炉圧力容器底部の温度が100度以下となっているというもの。しかし、東電自身が温度計の指示値は上下それぞれ20度の誤差があることを認めています。6日午前に記録した73・3度は、最大の誤差を見込めば93・3度で100度まであとわずかです。

 東電は、松本本部長代理が認めるように、溶け落ちた燃料が圧力容器内にどのように分布しているかわからないため、注水量を増やすとしか対策を述べることができないでいます。今回の事態は、福島第1原発1〜3号機が決して「冷温停止状態」などではなく、まして「収束」などではないことを示しています。(間宮利夫)


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