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2012年1月29日(日)

見えた 橋下市長の危険な本質

山下参院議員、識者らが批判

民放のテレビ討論会

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  テレビ朝日系番組「朝まで生テレビ」で28日、「激論!大阪市長“独裁・橋下徹”は日本を救う?!」と題した討論会が放映され、日本共産党から山下芳生参院議員が出席しました。討論を通じて「大阪維新の会」の橋下徹代表のでたらめさや危険な本質が浮き彫りになりました。司会は田原総一朗氏。


「選挙を冒涜」

 番組には山下氏のほか、橋下氏を批判してきた識者も出席。冒頭、「大阪都構想」を説明した橋下氏に、山下氏は「そもそもあの市長選挙で都構想が信任を得たとはいえない」と指摘しました。

 「都構想」はもともと、大阪市を解体して8〜9の特別自治区に再編するプラン。ところが市長選で「維新の会」は、「大阪市は潰しません」「24区、24色の鮮やかな大阪市に」と書きつらねたビラを大量配布しました。山下氏はそのビラを示し、「選挙を冒涜(ぼうとく)している」と批判しました。

 橋下氏は「役所がどうなろうが大阪市というコミュニティーは残る」などと言い訳しましたが、田原氏に「これは橋下さんのミス。誰でもわかる」とたしなめられました。

 自民党の柳本顕大阪市議は、「都構想」で「いまの行政サービスが維持できるのか」と疑問を呈しました。帝塚山学院大学の薬師院仁志教授は、橋下氏が市長選で「区長公選」を掲げながら就任初日に打ち出したのは「区長公募」だったと批判しました。

大企業の責任

 橋下氏は「大阪の地盤沈下」を強調し、「都構想」の必要性を説きました。

 これに対し、山下氏は、「大阪の地盤沈下」の原因の一つは、労働者派遣法の改悪など雇用の規制緩和が進められ、非正規労働者が急増したことだと指摘。もう一つは、「大企業が栄えれば大阪が栄える」というやり方の失敗だと話しました。

 その上で「関西空港をつくって大企業呼び込みをやったが、その大企業が逃げ、リストラをしている。この中で大阪経済全体が沈んでいる。だからこそ、大企業に社会的責任をとらせる国のルールをつくるとともに、大企業に頼り過ぎない、もっと中小企業を元気にさせる大阪府政が必要だ」と語りました。

どう喝の支配

 話題は橋下氏の進める教育基本条例案の問題に移り、元大阪市教育委員長の池田知隆氏が「どう喝による教育支配は時代錯誤だ」と指摘。「橋下さんはなぜ『君が代』(の起立斉唱強制)にこだわるのか」とただしました。

 山下氏は、橋下氏のねらう教育基本条例案は、知事や市長が「教育目標」を決め、教員が同じ命令に3回違反したら首にできるというものだと述べ、東京都で「君が代」の起立斉唱をしなかった教職員に対する重い処分を取り消した最高裁判決(1月16日)を紹介しました。

 同判決は、「君が代」斉唱の際、1回起立しなかったら戒告、2回で減給、4回目で停職とした東京都の処分について、減給以上は行きすぎであり違法、職権濫用だと指摘。その理由として(1)「日の丸・君が代」問題は個人の世界観・歴史観にかかわる問題であり、セクハラや体罰とは違う(2)学校の式典は年2回であり、2年で教壇に立てなくなるのは重過ぎる―としました。

 山下氏は、この最高裁判決を踏まえるなら「こんな条例を出すことはできないはずだ」と迫りました。

 橋下氏は「大阪の子どもたちの犯罪率は全国一。ルールすら守れない先生が、生徒にルールを守れといってもきくわけがない」「議会が決めたルールに、教員が自分たちの思想・良心で違反していいのか」などと発言しました。

 これには出演者がいっせいに反論。薬師院氏は「府議選挙で(府議会で強行した『君が代』強制条例の)公約はなかったじゃないか」と批判しました。精神科医の香山リカ氏は「先生が『君が代』を立って大きな声で歌ったら子どもの犯罪率が本当に下がるのか」、自民党の柳本市議も「国旗・国歌は尊重すべきだが、それを条例で強制するのはいかがなものか」と批判しました。

 田原氏も「日の丸・『君が代』といっても、日本政府は太平洋戦争についての総括をやっていない。それで規則、規則というのはちょっと違うのではないか」と指摘。橋下氏も「そこはいろいろ考えがあると思う」と言わざるをえませんでした。

 山下氏はさらに、教員に「5段階相対評価」を持ち込み、「D評価」が2回続いたら首にできる教育基本条例案が通れば、「先生が子どもたちに目を向けられなくなる」と指摘。池田氏は「大阪の学力低下の背景には、大阪の地盤沈下、(家庭)環境の悪化がある。大阪の先生は、休職者の数は全国平均の2倍。精神疾患の比率が全国平均の3倍。もっと先生をたくさん配置することなどが必要だ」と語りました。

「隠ぺい体質」

 最後に「維新の会」が国政に進出して何を目指すのかが話題に。

 田原氏は「石原(慎太郎)都知事が、自分がどこかの党と一緒になるとすれば前提は核保有だと言っているが賛成か」と質問すると、橋下氏は、「公の立場と(僕)個人の(意思の)表明とは違う」などとかわす一方、「核武装」論を否定しませんでした。憲法問題も「今から議論する」と逃げました。

 田原氏は「個人の考えはあるけど、いまは言えないというのなら(隠ぺい体質の)関電と同じだ」と批判。山下氏は「国政では憲法審査会が動き始めている。憲法をどうするのか。消費税をどうするのか。TPP(環太平洋連携協定)をどうするのか。こういう問題もきちっと政党として示すべきだ」と厳しく指摘しました。


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