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2011年12月21日(水)

主張

「F35」 採用決定

異常な大軍拡は許されない

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 政府は20日開いた安全保障会議で、航空自衛隊のF4戦闘機の後継機として、米国など9カ国が開発しているF35戦闘機の採用を決定し、閣議で了承しました。1機100億円もの高価な最新鋭機を大量に購入する、財政事情を無視した異常な軍拡です。

 F4の後継機について防衛省は、「周辺国が第5世代戦闘機の開発や空軍力の近代化を推進している状況」に対応して、「能力の高い戦闘機を整備」するといってきました。中国などが念頭です。世界最強といわれる戦闘機をもつ大軍拡と、近隣諸国との平和・友好の発展は、両立するはずがありません。

「憲法に触れる」爆撃能力

 防衛省はF4の後継機の納入開始時期を2017年3月までと決めています。しかし、F35は開発中の機体に多数の亀裂が見つかり、米国防総省の開発担当者は運用開始時期が当初の17年から19年以降にずれこむとのべています。防衛省が設定した17年までにF35が納入される保証はありません。遅れれば遅れるほど開発費がかさみ、1機当たりの価格は高くなります。

 開発が遅れているのに政府がF35を採用したのは、F35の購入を強く迫るオバマ政権の要求にすすんで応えた結果にほかなりません。パネッタ米国防長官は10月の日米軍事首脳会談で、F35の採用を迫りました。米国の要求を絶対視して欠陥まで指摘されている商品を買うのは異常です。「米国直結」外交では「公正・厳正な評価」(一川保夫防衛相)さえできないことを示しています。

 F35は、レーダーにとらえられにくいステルス性能を備えた長距離攻撃能力の高い戦闘機です。爆撃能力も持っています。自衛隊や米軍の空中給油機で給油をすれば、飛行距離はさらに伸びます。

 もともとF4戦闘機採用をめぐり当時の政府は、航続距離が長く爆撃能力をもつ戦闘機の採用は「憲法に触れる」(増田甲子七防衛庁長官、1967年3月29日衆院予算委員会)との見解を示しました。野田佳彦民主党政権が過去の政府見解さえ無視して、「憲法に触れる」最新鋭戦闘機の採用を決めたことは、国会の長い間の議論さえふみにじる「暴走」というほかありません。

 懸念されるのは、日本が長距離攻撃能力を持つことで日米が一体で海外作戦できる道が開かれることです。米軍は「長距離攻撃能力を拡大する」ことを重視しています。自衛隊を地球的規模の戦争に動員することも狙っています。日米両国がF35戦闘機を持ち、長距離攻撃能力を強めれば、周辺諸国の警戒心を高めるだけです。

国民生活予算にこそ回せ

 政府はF35を42機買うことになります。まず4機分の予算を来年度予算案に盛り込みます。来年度予算ベースでも1機約99億円に上っています。価格がこれですむ保証はなく、高い買い物になるのは避けられません。東日本大震災の復興を最優先にしなければならないときに、財政ひっぱくを口実に消費税増税をもちだしながら、憲法上も問題がある戦闘機を買うのは許されることではありません。

 F35の採用は財政を圧迫し、軍拡競争を激化させる最悪の道です。政府はF35採用の決定を撤回すべきです。F35購入費用を東日本大震災の復興と国民生活に回すことこそ、最優先の課題です。


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