2011年12月4日(日)
重すぎる3割負担
全年代で生活困窮
民医連調査 「公的保険といえない」
3日、全日本民主医療機関連合会が明らかにした「医療費・介護費相談調査」からは、あらゆる年代で医療費の支払いが困難な生活困窮の実態が浮かび上がりました。
働いても低所得のため医療費の支払いが困難で、医療から縁遠くなっている実態が明らかになりました。
相談者の世帯に「就業者がいる」のは39%で、「いない」が31%、「不明」が30%です。就業者の雇用形態を見ると、「非正規」が7割を占めます。相談者の収入は、15万円未満が全体の4分の3以上を占めます。無収入が869件、約3割です。
運送会社のトラック運転手の男性(35)の場合、収入の大半が生活費に消え、入院費の支払いが困難だと相談がありました。
相談後、死亡した事例は、141例にも。長瀬文雄事務局長は「医療費の負担増に耐えられず、命に直結する医療へつながれない状態だ」と指摘します。
会社の寮に住み、仕事をしていた66歳の男性は、国民健康保険料を滞納。胃の不調を感じ、市販薬を服用していました。6カ月間のみ有効の「短期証」を手に入れ、受診し、胃がんが判明。入院し手術を受けましたが、状態が悪化し12日後、死亡しました。
相談者3029件のうち無料低額診療事業を利用したのは、1227件(40・5%)でした。
無料低額診療事業は社会福祉法第2条などに基づき、医療費の支払いが困難な人を対象に医療費減免を行う制度です。全日本民医連に加盟する事業所のうち254事業所が行っています(8月10日現在)。
失業中の透析患者(男性・41)の母親は、糖尿病と心臓病で、医療費の負担が重く、4年前から受診を中断。自己判断で、息子の薬を服用していました。男性が相談し、母親は同事業を利用し、受診継続となりました。
長瀬事務局長は「被保険者本人が3割の医療費窓口負担をしなければならない実態はもはや“公的保険”とはいえない」と批判。「医療費の窓口負担ゼロを目指して引き下げを求める」と強調しました。
調査対象者の月収
無収入 869人
5万円未満 381人
10万円未満 650人
15万円未満 522人
20万円未満 167人
25万円未満 72人
30万円未満 27人
35万円未満 15人
40万円未満 3人
45万円未満 2人
50万円未満 1人
50万円以上 2人
不明 318人