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2011年11月18日(金)

APEC報告に対する

笠井議員の代表質問

衆院本会議

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 17日の衆院本会議で野田佳彦首相が行ったAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の報告に対する、日本共産党の笠井亮議員の代表質問は次の通りです。


TPP交渉参加

 総理はAPEC首脳会議で、TPP(環太平洋連携協定)の「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明しました。日本列島に広がった反対の世論と運動、慎重な対応を求める意見にも耳をかさず、国民への説明も全く不十分なまま交渉参加を表明したこと自体が、きわめて重大です。厳しく抗議し、撤回を強く求めるものです。

 総理は「国益は守る」と繰り返します。問題は、どんな方針で協議に臨もうとしているかです。総理は日米首脳会談では、1年前に菅内閣が閣議決定した「基本方針」にもとづいて発言したとのべ、それは、「センシティブ品目について配慮を行いつつ、すべての品目を自由化交渉対象」とすることだと答弁されました。これが野田内閣として協議に臨む基本方針ですか。

 そうだとすれば「センシティブ品目」としてわが国が、「除外」または「再協議」の対象にしてきたコメ、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産品等の農林水産品を含む940品目などは「配慮」するだけで除外されない。コメなど「センシティブ品目」が対象にならない保証などないではありませんか。

 米政府が、野田総理は「すべての物品、サービスを貿易自由化交渉のテーブルに乗せる」と発言したと発表するのも当然です。これほど「国益を損ねる」ものはありません。そうでないなら、「センシティブ品目」は交渉対象にしない、除外すると明言できますか。

 APEC議長のオバマ米大統領は総括会見で、TPPのルールについてアメリカを含む9カ国が大枠合意に達したとのべました。

 大枠合意の冒頭に明記されているのが、「包括的な市場アクセス」、つまり「物品財、サービス貿易、投資に係る関税と他の障壁を撤廃する」ことです。総理は「守るべきところは守る」といいますが、大枠合意では、すべての関税・非関税措置の全面撤廃が明記されている。すでにそういう大枠が出来上がりつつあるとわかっていながら、なぜ交渉に参加するのですか。

 外務省の「TPP協定交渉の分野別状況」には、21分野にわたり「慎重な検討を要する可能性がある点」が列挙されています。

 貿易の技術的障害分野では「遺伝子組み換え作物の表示などの分野で、わが国にとって問題が生じる可能性がある」、原産地規則分野では「輸入原材料を用いた場合も原産品と認めるルールとなる場合、TPP参加国以外の国からの輸入原材料を使用した産品が輸入される可能性がある」と指摘しています。日本が交渉に参加すれば、これらの問題点さえ検討の余地なく自由化原則に沿って具体化がすすむことになるではありませんか。

米国の要求とは

 日本が交渉参加するためには、すでに参加している9カ国の同意が必要であり、アメリカとの関係では、日米政府間の事前協議段階で米側の対日要求をのまなければ、日本の交渉参加が米議会で承認されない。先日の予算委員会で私が指摘したことがいよいよ明確になってきました。

 日米首脳会談後の米大統領報道官発表は、「オバマ大統領はカーク通商代表に対して、日本の立候補を検討する国内プロセスを開始するよう命じるつもりである」、「そのプロセスには、非関税障壁を含め農業、サービス、製造業の各分野における特定の懸念材料について、議会および米国の各利害関係者と協議することが含まれる」とのべました。

 カーク代表は日本に対し、アメリカ産牛肉輸入制限大幅緩和、郵政の保険分野、自動車の非関税措置緩和などを求めると表明しました。アメリカはこれらについて具体的に何を求めてきたのか。国民と国会にたいして明確に報告されたい。

 オバマ大統領は、首脳会談直前のAPEC・CEOビジネスサミットで「日本がどの程度、TPPに関係する困難なプロセスをくぐるつもりがあるのか、その感触は総理からつかめる」、「例えば農業分野であり、彼らにとってそれは難しい問題となる」とのべ、日本の本気度を確かめると公言しています。輸出倍増と雇用創出が、アメリカにとってのTPPの目的だとあけすけに語っています。

 日本のTPP交渉参加を認めるかどうかをテコに関税・非関税措置の全面撤廃を迫り、日本が受け入れなければ参加を認めない。さもなくば「丸のみ」せよ。これほど屈辱的外交はありません。アメリカの対日要求にかかわって以下の項目をどうするのか具体的にお答えいただきたい。

 牛肉輸入制度について日米首脳会談で総理は、「BSE対策全般の再評価」にかかわって、月齢20カ月以下の牛に限って認めている輸入を月齢30カ月以下に広げる考えを伝えましたが、さらに要求にこたえて、米国産牛肉輸入の自由化を進めるつもりですか。

 総理は「国民皆保険は守る」といわれますが、アメリカの保険業界や医薬品メーカーはお金がないと受けられない自由診療を持ち込もうと要求しています。外務省も「混合診療の全面解禁が議論される」可能性を否定していません。日本の保険制度が崩されていく対日要求にどんな態度をとるのですか。

 ISD(投資家対国の紛争解決条項)は、多国籍企業が、進出先国で有利になるように規制措置を変更させるものです。米韓FTAは盛り込まれ、韓国で大問題となっています。アメリカからこの条項を要求された場合、日本国民の安心・安全を守る立場から拒否できるのですか。日本に求められているのは、アメリカ一辺倒から脱し、アジアを含む各国と経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係を発展させることであり、TPP参加では断じてありません。

普天間基地問題

 最後に、普天間問題について質問します。

 総理は、日米首脳会談で、辺野古新基地建設のための「環境影響評価書」を年内に提出することをオバマ米大統領に約束しました。沖縄県民の総意を真っ向から踏みにじる、きわめて重大な背信行為です。日本政府がやるべきは、「日米合意」を撤回し、普天間基地の即時閉鎖・無条件返還のため、米政府と正面から交渉することではありませんか。


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