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2013年8月11日(日)

党派超え願い結集

鹿児島・曽於市長選

前共産党市議五位塚さんが勝利

ムダな花公園建設中止に


五位塚剛市長

 鹿児島県の曽於(そお)市の市長選(7月21日投開票)で、日本共産党市議を辞職して無所属で出馬した五位塚(ごいつか)剛氏(59)が、現職市長を破り初当選しました。農畜産業が中心で、「保守王国」の同市で市民の選択は―。 豊田栄光記者

 「市長! 当選おめでとう」。3日開かれた市の夏祭りの会場で、多くの市民が新市長に祝福の声をかけました。
 五位塚氏の得票は1万1871票。自民党、公明党の推薦を受けた池田孝氏(68)=1万168票=に1703票の差をつけました。市議20人のうち五位塚氏を応援したのは4人のみ。16人が池田陣営につく力関係を崩したのです。

 曽於市は人口約4万人。2005年に財部(たからべ)、末吉、大隅の3町が合併し誕生しました。
 市長選最大の争点は、合併を記念する花公園建設の是非でした。

 花公園は、フラワーパーク、パークゴルフ場、グラウンドゴルフ場から成り、周辺の緑地帯を含めた総面積は32ヘクタール。同市の一般会計予算218億円(2013年度)のなかで、事業費は13億5千万円にもなります。しかも、施設利用収入より維持管理費が上回り、年間1千万円以上の赤字(市の持ち出し)が生じる、と前市長も認めています。

 市民から「無駄な開発より、住民サービスの向上を」との声があがりました。
 五位塚氏を擁立した「フラワーパーク建設反対市民の会」代表の熊谷道博氏(64)=元末吉町議会議長=は言います。
 「私は地元の自民党支部の役員も務め、政治信条では五位塚さんと相いれない部分も多いですが、建設中止は党派を超えた思いです」

 もともと公園計画は、4年前の市長選で前市長が公約せず、直後に言いだしたもの。共産党市議団(徳峰一成団長、五位塚氏)は直ちに議会で追及。住民運動も広がり一昨年、「アンケートを求める市民の会」が、市に住民アンケートを求める署名をよびかけ、5200人分を集めました。

 市民の怒りは高まり、昨年9月、230人が集会を開き、同「建設反対市民の会」を結成。「市民の会」に推された五位塚氏が、今年3月に市議を辞職し、市長選に打って出たのです。

 肉牛2千頭を飼育する畜産農家の男性(53)は、「市長選は建設中止の最後のチャンスでした。共産党かどうかは全く気になりませんでした」と語ります。

 ◇

 五位塚氏は、末吉町議・曽於市議を7期、曽於民主商工会会長や農業委員(9期目)を歴任。4年前の市長選では共産党公認で、8836票(得票率42・2%)を獲得しています。

 今回の選挙戦では、花公園建設中止とともに、▽75歳以上に敬老祝い金の毎年全員支給▽市長の4年ごとの1670万円の退職金廃止▽保育料・幼稚園代は月1万円以下に▽TPP(環太平洋連携協定)参加反対―などを公約し、共感が広がりました。

 政策論戦で圧倒すると、“共産党系市長になれば国や県からの補助金が減る”との反共ビラがまかれました。「市民の会」は直ちに反撃ビラを全戸配布(1万5千戸)。“補助金は法令などで決まっている。革新であれ保守であれ、自治体による差別は許されない”と。

 喫茶店を経営する女性(65)は、「いまどき怪文書で誹謗(ひぼう)中傷とはあきれる。無駄な開発より住民サービス向上が先。良い政治なら、共産党でも自民党でもいい。これが市民の感覚です」。

 「市民の会」の熊谷代表は勝利の要因についてこう語ります。
 「まず五位塚さんの、共産党議員、農業委員などとして積み重ねてきた政治的実践への市民の高い評価です。フラワーパークの是非を争点化できたこと、大半が保守支持の市民が党派を超えて結集したこと。最後は、『市民の会』が何度もビラを全戸配布できた強い運動に成長したことです」

 五位塚新市長は、7月31日に初登庁。力強く抱負を語りました。

 「フラワーパーク建設は白紙撤回します。私の務めは、350人の職員と一丸となり、命や福祉を守る市政実現に全力をあげることです」



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