『原発の闇 その源流と野望を暴く』

原発の真実に迫るルポが本になりました。

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 「原発の真実」に迫った「しんぶん赤旗」の一連のルポルタージュが本になりました。タイトルは『原発の闇 その源流と野望を暴く』(新日本出版社、定価1260円・税込み)。北海道・九州両電力の「やらせ」のスクープとその後の詳細な報告、好評を博した連載「原発の源流と日米関係」、シリーズ「追跡 原発利益共同体」など、赤旗編集局が3・11大震災、福島原発事故以来とりくんできた総力取材の成果が収められています。原発推進の構造を明らかにするとともに、「安全神話」をふりまいてきたマスメディアの責任を厳しく問うています。

<目次>

  • 第1章 九電「やらせ」メール事件はなぜ起きたか
  • 第2章 原発の源流と日米関係
  • 第3章 財界の野望
  • 第4章 追跡! 原発利益共同体

 

お求めは新日本出版社サイトからどうぞ



<書評>

取材班、執念の結晶

阿部裕

 「原発の闇」は深く暗い―「九電やらせメール」スクープで名をはせた「赤旗」取材班が、さらに「闇」の奥底に分け入り、その正体を白日の下にさらそうと挑んだ執念の結晶である。

 日本が唯一の被爆国にもかかわらず、いつの間にか米国104基、仏58基に次ぐ54基と世界3位の原発大国にのし上がるには周到な戦略と仕掛けがあったに違いない! 取材班はそこに狙いを定めた。

立体的な構成

 まず、「『九電やらせメール』(北海道電力でも)を大手マスコミではなく、なぜ『赤旗』がスクープしたのか?」―その答えもこの本を読み進むうちに、十分、得心する。原発推進への"世論ねつぞう"は、権力チェックを徹底的に行う姿勢があるかどうか―「信頼があったからこそ、関係者の内部告発が寄せられた」―ということなのだ。

 「第一章九電『やらせ』メール事件はなぜ起きたか」「第二章 原発の源流と日米関係」「第三章 財界の野望」「第四章 追跡!原発利益共同体」―とあたかもベートーベンの交響曲のような立体的な構成、一章から終章に向かって次第に期待感と高揚感が高まっていく。

 第二章で、「日本への原発導入とその後の歩みは米国の戦略と密接に関わっている」、それも1954年3月1日の「ラッキードラゴン」(第五福竜丸被ばく)事件を逆手にとる策略だったと、詳細に解明。

 「広島と長崎の記憶が鮮明なときに、日本のような国に原子炉を建設することは劇的であり、これらの街での大虐殺の記憶から遠ざけるキリスト教徒としての行いである」、つまり米国による原爆投下の責任をあいまいにし、日本国民に原発を受け入れさせることで「原子力の平和利用」の象徴にしようとする狙い―その担い手=旗振り役として読売新聞社主・日本テレビ創業者の正力松太郎、後の首相・中曽根康弘代議士がメディアと政治を舞台に活躍、日米安保体制の中に原発が位置づけられていくのだ。

未来開く潮流

 評者が最も注目したのは「財界の野望」の後半、「メディア対策―『朝日』から始まった」から終章「追跡!原発利益共同体」で展開される「国民分断・世論懐柔」「原発マネー」「安全神話」で「政・官・財・学・報」総がかりの「原発推進体制」の形成と膨張...。

 なかでも「私はウラニウムである」で始まる読売新聞大型連載「ついに太陽をとらえた」(1954年1月~)と「新聞は世界平和の原子力」(1955年の新聞週間標語)に象徴されるメディア挙げての「原発推進一辺倒」の空恐ろしさ―。いまもTPP(環太平洋連携協定)推進、復興増税をあおるメディア大合唱―「原発事故」後も変わらない。

 その克服へ世界と日本の未来を開く潮流―「さようなら原発」のうねり、「ウォール街を占拠せよ」の全米そして世界へ広がる抗議運動―の可能性と課題に照準を当てた企画に、「赤旗」取材班が本腰を入れてほしい、と大いに期待している。

 (あべ・ひろし 日本ジャーナリスト会議事務局長)

(「しんぶん赤旗」2011年11月13日付)

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