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2021年8月23日(月)

きょうの潮流

 この夏、メディアに鋭く問われたことがあります。いま何を伝えるべきか―。オリンピック放送に多くを費やしたNHKは、地上波だけでも430時間をかけました。1日22時間を超える計算になります▼コロナの感染爆発で最新の情報を知りたいと思っても、「ニュースウオッチ9」は15~30分に短縮。駆け足でストレートニュースを報じるので精いっぱい。8月6日には恒例だったヒロシマの特集番組も姿を消しました。43年ぶりのことだといいます▼そんな中でも、その後に登場した終戦・被爆番組は力作ぞろいでした。戦争という巨大な暴力が、支配する者とされる者、どう人々の心を変えていったかを考える内容に満ちていました▼「しかたなかったと言うてはいかんのです」は、ドラマの形で訴えました。終戦の1945年に九州の大学病院で実際に起きた、米国人捕虜を生体解剖した事件を素材に描きました。手術に参加させられた医師の苦悩。命を救うはずの医師が命を奪ってしまったのです▼戦争のむごさが浮かび上がってきます。しかし、「しかたなかった」で済ませてはならないと、ドラマは現在を生きる一人ひとりに問いかけます▼戦争体験を語れる世代は高齢に。多くの戦争・歴史番組を手がけたスタッフは「直接証言してもらうのは、そろそろ限界かな」ともらします。先輩の財産を引き継ぎ、新たな資料を読み解こうと、戦後生まれの作り手の懸命な作業は続きます。見応えのある番組を応援するのも視聴者の役割です。


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