2021年7月14日(水)
きょうの潮流
NHK経営委員会が、3年前の議事録を8日に全面開示しました。市民団体や元NHK職員らが公開を求めて提訴し、日本共産党やメディア各社も情報公開請求をしていたものです▼かんぽ生命保険の不正販売を追及した「クローズアップ現代+」をめぐって、日本郵政がNHKに“抗議”。それに順応した経営委が上田良一会長(当時)を厳重注意、郵政3社には「遺憾の意」を示した文書を送付しました▼議事録を見ると、経緯が生々しい。石原進委員長と森下俊三代行(現委員長)のトップ2人が会議を主導し「番組は奇異」「極めて稚拙。取材をほとんどしていない」と攻撃に終始していました。準備していた番組続編はいったん中止に追い込まれます▼放送法は、経営委員が個別の番組の編集に介入してはならないと定めています。これを意識して、経営委ではガバナンス(組織統治)の問題にすり替えようとしていました▼経営委の人事は、政府案への国会の同意が必要です。安倍晋三氏が首相になると、政権寄りの人物が政府推薦として名を連ね、全会一致とならなくなりました。森下氏についても、野党は反対を表明。経営委が会長を任命するので、公共放送NHKの運営が左右されます▼そもそも今回の経営委の問題は、郵政のNHKへの干渉に始まったことです。本来なら圧力からNHKを守るべき経営委がそれに屈して、放送の自主自律をゆがめる事態になっています。森下氏は辞任すべきで、再任した菅義偉首相の責任も問われます。








