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2021年2月24日(水)

主張

中国の海警法

覇権主義強める法は撤回せよ

 中国政府が1日に海警法を施行して以降、沖縄県尖閣諸島沖の日本領海への中国公船の侵入ペースが加速しています。同法によって、軍事組織である海警局の活動領域の拡大と、武器使用を含めた同局の権限強化が法制化されました。中国自身が批准した国連海洋法条約をはじめ海の秩序を定めた国際法の原則をあからさまに踏みにじっています。中国は東シナ海、南シナ海で力による現状変更の動きを強めており、同法の制定は覇権主義的行動をエスカレートさせるものです。中国政府は海警法を撤回すべきです。

国連海洋法条約を逸脱

 中国が尖閣諸島を含む海域を自国領と主張しているもとで海警法の施行は日本にとっても深刻な問題です。尖閣沖の日本領海で中国海警局の公船が日本漁船に接近する危険な動きを繰り返しています。「砲らしきもの」を搭載した海警局船の侵入も報告されています。偶発的な衝突のおそれを高める行動です。

 海警法には、国連海洋法条約に基づく国際海洋秩序とまったく相いれない重大な問題があります。

 国連海洋法条約は沿岸国の権利に配慮しつつ国際社会に「航行の自由」を広く認めています。沿岸国の主権が及ぶ範囲は12カイリ以内の領海に限定され、外国船舶は沿岸国の平和や秩序を害さない限り、領海の「無害通航権」を認められています。接続水域、排他的経済水域、大陸棚についてはそれぞれの海域ごとに沿岸国に認められる権限を限定的に定めています。

 ところが海警法はこうした海洋法秩序にいっさい言及せず、「わが国の管轄海域」なる規定を勝手に設けました。範囲は示されず無限定です。中国当局がきわめて広い周辺海域を一括して「わが国の管轄海域」とすることがどのようにも可能です。さらにその全域が中国領海であるかのように幅広い権利の行使を認めています。

 海警局の職責は「わが国の管轄海域」とその上空で「海上の権益を擁護する法執行活動にあたる」ことです。何が「海上の権益」なのか、定義は示されず、これも中国当局が恣意(しい)的に決めることができます。

 海警局は「わが国の管轄海域」で「国家主権、安全保障および海洋権益を害する行為を予防、阻止、排除する」と規定されています。そのために外国船を含む船舶の臨検、外国が建造した「建築物、構造物」の強制撤去、「武器使用を含むあらゆる必要な措置」など強制措置をとる幅広い権限が海警局に与えられています。主権の及ぶ範囲を領海に限定し、主権の行使としての強制措置を厳しく制限している国連海洋法条約の原則を大きく逸脱した、国際法違反の極めて危険な法律です。

日本政府は厳しい対応を

 海警局は中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊に所属する軍事組織です。その行動範囲や強制措置の運用を中国当局の裁量次第とする海警法は、紛争の平和解決を大原則とする世界の海洋秩序を危うくしかねません。

 日本政府の対応は「国際法に違反する形で運用されることはあってはならない」と「深刻な懸念」を表明するにとどまっています。海警法自体が国際法違反であることを厳しく批判し、撤回を求める外交的対応をとるべきです。


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