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2020年12月8日(火)

主張

コロナ禍の株高

つり上げをやめ課税の強化を

 コロナ危機で多くの国民が収入を絶たれ、中小零細業者は営業存廃の瀬戸際です。実体経済がかつてなく落ち込む一方、株価がバブル崩壊後の最高値を更新する異例の事態です。米国の株高の影響もありますが、大本の要因は安倍晋三前政権から引き継いだ株価つり上げ政策です。日本銀行と公的年金積立金の二つの公的マネーが大量に株式市場に投入されています。ごく一部の大金持ちのもうけを増やし格差と貧困を広げる政策は改めるべきです。

日銀買い支えが過去最高

 前政権は、大企業の株式銘柄をパッケージにした「株価指数連動型上場投資信託」(ETF)を日銀に大量に買わせ、株価を押し上げました。間接的な株式購入です。日銀はコロナ危機下でETFの購入を大幅に増やしました。株価が急落した3月には月間で最高となる1兆5484億円のETFを購入し株価は上昇に転じました。今年購入したETFの累計は6兆9000億円を超え、すでに年間として過去最高です。

 株式同様に市場に上場され、取引で価格が変動するETFを日銀が大量に保有することは財務を悪化させるリスクがあり“禁じ手”です。3月半ばには日銀が保有するETFに3兆円に上る含み損が発生しました。2019年度末はかろうじて黒字だったものの、ETFが巨額の含み損を抱えて年度末を迎えれば日銀が債務超過に陥る恐れがありました。通貨の番人である中央銀行の根幹にかかわる大問題になりかねませんでした。

 日本共産党政策委員会の推計によると、公的マネーが事実上の筆頭株主になっている大企業は、代表的な株価指数「日経平均」の算出に使う225社の85%に達し、公的マネーが日本の株式時価総額に占める割合は12%に上ります。

 株価つり上げで恩恵を受けたのが海外投資家と日本の富裕層です。コロナ危機に際して海外投資家は1月から9月にかけて日本市場から大量のリスクマネーを引き揚げ、売った株が買った株を6兆円近く上回る「売り越し」でした。同期間に日銀が買ったETFは6兆3000億円でした。日銀が海外勢の売り越しを上回るETFを買って株価を支えたため、海外投資家は株価の下落で資産を減らすことなく日本株を売り抜けることができました。

 米誌『フォーブス』によると、日本で資産10億ドル以上の富裕層の資産総額は3月時点の12兆円から11月には20兆円に膨らみました。大富豪のほとんどが大企業の創業者などの大株主で、資産急増は株価上昇の結果です。

際立つ日本の富裕層優遇

 所得が年100億円を超す超富裕層では所得のほとんどが株式譲渡所得です。課税は住民税を合わせても約20%です。欧米がおおむね30%程度であることと比べても日本の富裕層優遇は際立っています。株のもうけに対する課税強化は急務です。

 政府の株価対策は、大企業、富裕層がもうかればおこぼれがあるという「トリクルダウン」の政策です。実際には賃金は上がらず、非正規雇用が拡大しました。コロナ危機の中で大企業は設備投資を控え、雇用を削っています。株価つり上げ政策はやめ、危機で苦しむ国民、中小業者への支援こそ急ぐべきです。


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