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2020年11月11日(水)

きょうの潮流

 地上は天心に到(いた)り、地下は地殻に及ぶ。かつてのローマ法が示した土地の所有権についての見解です。上下に及ぶとの考え方は各国の法にも引き継がれ、日本の民法もそれにならったといわれています▼しかし、社会の変化にともなって範囲は制限されていきます。「利益の存する限度」「公共の福祉のため」などという理由を付けられて。だからといって、住まいの上空を何かがさえぎったり、地下を勝手に掘られてはたまらないでしょう▼東京・調布市の住宅街で起きた道路の陥没や、地中で見つかった空洞。この地下では外環道のトンネルが掘られていました。ところが工事を進める事業者は、説明をもとめる住民にたいし関係は不明とし、「調査中」をくり返すだけです▼この付近では掘削が始まった頃から建物や道路にひびが入り、振動や騒音も伝わって、住民の不安がひろがっていたといいます。陥没現場から数百メートルの川では酸欠空気の気泡が上がることも▼もともと地権者の承認もなく、住宅の真下に巨大トンネルを掘る外環道は計画段階から強い反対運動が起きていました。安全や環境対策もないなか、ゼネコンのために1メートル1億円の巨税を投入する。典型的な不要不急で時代遅れの事業です▼「私たちの命がかかっている」。いつ落ちるかもしれない恐怖から逃れられない日々。リニアやオスプレイもそうですが、好き勝手に地下や地上、この地球を荒らされてなるものか。そのたたかいは社会のあり方への問いかけでもあります。


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