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2020年6月9日(火)

体育の授業 何が必要か

学校体育研究同志会常任委 学校再開の提言(要旨)

 学校体育研究同志会全国常任委員会は6日、「学校再開にあたり体育で何を大切にすべきか」―体育の授業づくりに対する提言―を発表しました。要旨を紹介します。

はじめに

 新型コロナウイルス感染症にともなう緊急事態宣言が解除され学校再開にあたって、不安と喜びの両方の思いを抱いていることと思います。そこで学校体育研究同志会は、これまでの実践研究を踏まえた授業づくりの方向を提言したいと思います。

子どもたちから出発した教育課程の編成を

(1)体育・保健体育の価値を共有する

 「体育」「保健」を通して考えられるのは、運動技術や戦術の学び、心身の解放、からだづくり、楽しさ、仲間づくり、文化としてのスポーツの学びなどです。私たちは「ともにうまくなる」「ともに楽しみ競い合う」「ともに意味を問い直す」の三つの「ともに」を大切にしてきました。

 また、運動会や体育祭を中心とする体育的行事は、教科の学習を生かした学習の場であり、自治を学ぶ意味を持っています。教科や行事のあり方を確認し合って再開に向かいましょう。

(2)子どもから出発する。子どもの必要は何かを考える。

 遅れを取り戻すという発想では、子どもたちを追い込むことになりかねません。そのため子どもたちに必要だと思われる内容を絞り込んで取り組むことが大切です。同時に、子どもが何を欲しているのかも重要です。水泳をやらないと決めた学校がありましたが、それは子どもの必要に根ざした判断でしょうか。子どもたちと工夫しながら取り組む方がよいのではないか。主体的な判断が求められます。この間、全く運動をしてなかった子どもがいることも予想されます。実態を把握し、からだを慣らしていくことが大切です。

(3)安全への配慮と子どもの参画

 運動を行うときに安全への配慮は必要です。子どもたちを安全確保の主体にし、3密を避けて体育を行う工夫を考えましょう。3密に配慮しすぎても、活動が制限されます。体育の再開は、保健室や病院などの医療機関との関係構築が必要になります。学校の判断や要望を行政へ届けることも必要でしょう。

(4)「わかって」「できる」、ともに学ぶ楽しさを大事にしよう

 運動を指導するときに「何がわかればできるようになるのか」「子どもは何につまずいているのか」「そのつまずきをどんなスモールステップで克服するのか」を考えることが必要です。同時に、友だちと一緒に学ぶ視点を導入したい。子どもは友だちと「ともに」学び合うことに楽しさを見いだしています。

 体育がからだを動かすことを中心とするといっても、スポーツを内容に持つわけであり、実技習得に特化せず、歴史や文化性などを学ぶこともできます。

(5)「からだ」を学び、自身の成長を促すこと

 体力の低下を理由に安易な体力づくりや、トレーニングを中心とした教師主導の一方通行的な体育に傾くのではなく、自分のからだと向き合うことが必要です。その成長や体力と運動の関係を科学的に学ぶこと、からだと休養・睡眠・栄養との関係を教えることも有効です。

 小学校では「病気の予防」の学習が、中学校では「感染症の予防」の学習が組み込まれています。「コロナを学ぶ」「コロナで学ぶ」視点から、新しい社会のあり方を考える授業も可能です。

おわりに

 アフターコロナの時代は、体育にも新しいスタイルをもたらすかもしれません。今後、オンラインでつながる体育、空間を飛び越えた体育も可能になるかもしれません。私たちはコロナをチャンスとして、みなさんと新たな「体育」・スポーツの学びの可能性を追求したいと思います。


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