しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年5月6日(水)

介護者 負担ずしり

日本ケアラー連盟アンケート

疲労やストレス増 36%

感染後代わりいない51%

 新型コロナウイルス感染拡大を受けて日常生活や医療分野への不安が広がっています。介護者自身が感染した場合、代わりに介護する人がいない人が5割超であることが5日までに、日本ケアラー連盟が行った緊急アンケートで明らかになりました。


 ケアラーとは介護、看病、療育などケアの必要な家族や近親者、友人らを無償でケアする人です(日本ケアラー連盟ホームページから)。ケアラーを対象に3月21~30日に緊急アンケートを実施し、381人が回答。うち331人が在宅で介護しています。

 日本ケアラー連盟の児玉真美代表理事は「個人で介護を行うケアラーの存在と状況を可視化したい」と語ります。

 感染拡大で、14・6%の人が「仕事が減った」と回答。収入が減った人は全体の16%で、そのうち6割以上が「半分以下に減った」と回答しています。

 介護状況について、36・2%が自身の疲労、ストレスが増していると回答しました。ケアに要する時間は37%が「今までより長くなった」と回答。平均5・7時間、週24・8時間長くなりました。同連盟は週25時間は「社会保険や雇用保険に加入できる長さ」と指摘します。

 「買い物に困っている」と回答した人は33%でした。「マスクができない障害児を連れて買い物に行けない」という声や、「介護を片付けて買い物に出ても、商品がない。スーパーのはしごも体力的に困難」などの声がありました。

 ケアラー自身が新型コロナウイルスに感染した場合の代替策について、「まだ考えていない・どうしたらよいのかわからない」が52・5%。「代わりの人はいない」とした人は51%でした。代わりの介護者がいる人は、わずか34人でした。(複数回答)

 寄せられた声の中には「家族に感染者がいたらショートステイは利用できない。ケアする人がいなくなるので命の危険がある」と訴えるものも。

 連盟ではいざという時に備えてケアに関する情報を書き込んでおける「緊急引継ぎシート」をネットで公開し、活用を呼び掛けています。

 必要な支援として65・6%が「マスク・消毒薬などの優先的な配布」を求め、64・3%が「緊急時の要介護者へのサービスや受け皿がほしい」と回答しています。(複数回答)

 自由記述欄には、多くの要望や不安の声が寄せられました。

 入居施設が面会謝絶になっていることに対して、「(認知症は)今日が最後の面会になるのではという気持ちが常にある」と短時間の外出や面会を求める声や、イギリスのようにスーパーへの高齢者・障害者の優先入店時間を求める意見もありました。

 新型コロナウイルス感染の地域ごとの発生状況の開示、「通常相談窓口が閉鎖され、相談先がほしい」などの要望がありました。

 児玉さんは「マスクや消毒薬の不足は医療的ケアが必要な方にとっては命に直結します。喫緊の課題として一番訴えたいのは、ケアラー自身が感染したり濃厚接触者になった場合の要介護者の受け皿づくりです」と早急な対応を求めました。

グラフ:介護状況の変化(複数回答)

pageup