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2020年3月14日(土)

学生分野での党と民青の歴史的前進を

全国青年・学生部長会議開く

 全国都道府県青年・学生部長会議が13日、党本部で開かれました。会議の目的は、2月の学生新歓、民青同盟拡大での大きな変化を確信に、学生分野のとりくみの方向と目標を明らかにし、学生新歓をはじめ当面の方針の意思統一と交流をおこなうことです。吉良よし子青年・学生委員会責任者が報告しました。山下芳生副委員長・党建設委員会責任者が開会のあいさつをおこない、志位和夫委員長が発言。小池晃書記局長が参加しました。参加者は活発に討論しました。

吉良青年・学生委員会責任者の報告

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(写真)報告する吉良よし子青年・学生委員会責任者

 吉良氏は、学生分野での党と民青同盟の組織と運動の歴史的前進へ、3点にわたって報告しました。

学生の政治的特徴ふまえ三つの希望語ろう

 第一は、今日の学生の政治的特徴をふまえた対策を強めるということです。

 吉良氏は、みずから学生と直接語り合う活動を通じて「いま、学生の中で日本共産党綱領が響き合い、働きかければ急速に変化すると感じています」と述べ、いまの学生の政治的特徴と、これをふまえた党の側の働きかけについて明らかにしました。

 諸外国と比べても日本の学生は、貧困と格差、ジェンダー平等、気候変動、社会主義などへの関心は変わらないが、「政治は変えられない」と思っている学生が極端に多くなっています。この両面から日本の若者をとらえることが重要と指摘。「政治は変えられない」という思いを変えることこそ学生の成長のカギになると強調しました。

 では、党としてどう働きかけるか―。吉良氏は、「政治は変えられる」という「三つの希望」を語ろうと呼びかけました。

 一つは、若者がみずから運動すれば、政治は変えられるという希望です。

 二つは、市民と野党の共闘が、日本を変えつつあるという希望です。

 三つは、日本共産党綱領と科学的社会主義が最大の希望であり、これこそ、若者の未来を照らす羅針盤になるということです。

現状は危機的だが、力合わせれば前進できる

 第二は、学生分野での党支部と民青班の現状、これを打開する当面の目標についてです。

 吉良氏は、学生分野での党組織が、危機的状況にあることを、現勢調査にもとづき率直に数字も示して指摘するとともに、一大決意をして、必要なとりくみをすれば、全国的な経験からも短期間で現状を打開する道が開けると述べ、「なんとしても大きな前進をつくりましょう」と呼びかけました。

 その点で、党大会第二決議が示した青年・学生の党勢倍加に向けて今年の目標をどうするか、2点を問題提起しました。

 まず、大学ごとの党支部を倍加し、民青同盟班を倍加するということです。そのために、いまある支部をさらに強く発展させる、準備支部は単独支部に、集合支部はその機能を保持しながら単独支部をつくっていく努力を強める、大学に支部と民青班をもたない県は、一つ以上の大学に支部・民青班をつくる―という具体的提起をおこない、「頑張れば実現可能な目標です。中央としても必要な支援を行いたい」と述べました。

 そのうえで、党支部と民青班づくりをすえつつ、学生党員と民青同盟員の倍加をめざし、今年は党員と民青同盟員の拡大で昨年の2倍以上をめざす目標を提起しました。

 学生支部と民青同盟班の現状と打開の目標について、党中央にも、学生党組織の危機的現状をリアルに率直に伝え、目標を提起する点で弱点があったと率直に自己検討、「今回の目標の提起は、こうした反省をふまえたもので、目標をやりきることで全国が団結し、今年こそ学生分野で後退から前進に転じる年にしましょう」と呼びかけました。

党綱領を語り、今年の目標必ず実現

 第三は、今年の目標をどう実現するかです。

 今年の党としての学生対策の力点を、(1)学生の勉学・生活条件の改善を土台にすえ、学費・奨学金、ジェンダー平等、気候変動問題、核兵器廃絶などの運動をおこし、広げる(2)学生の知的関心に応え、党綱領と科学的社会主義を語る党と民青同盟の一大運動にとりくむ―学生分野でこそ、「改定綱領学習講座」(14日)の視聴を重視する(3)学生党員と民青同盟員を大きく増やし学生党支部、民青同盟学生班を強化する―の3点にわたって具体的に提起しました。

 この点でいま、国民の苦難軽減を立党の精神とする党として、大学での新型コロナウイルス対策、学生の不安解消、感染防止のとりくみを重視して運動にとりくむことが呼びかけられました。

 学生分野の民青同盟員をどう増やすか―。この20年間では最高の加盟者を迎えた2月のとりくみを確信に、学生新歓での民青同盟拡大の成功が決定的だと指摘。4月いっぱいを「学園対話集中期間」に設定し、重点とする大学を決めて具体的手だてをとるよう提起しました。

 3~4月、在校生の党員拡大を重視し、支部建設を推進すること、民青同盟に加盟した学生同盟員の成長に特別の努力を強めるために、すぐに歓迎会を開き民青の基礎講座・学習セミナーに参加してもらうこと、「民青大好き」といわれる魅力ある班活動の推進、とりわけ班長不在の班をなくすことを強調しました。

 吉良氏は、党大会第二決議を指針に、非常勤も結集して、学生党支部と民青学生班を援助できる体制づくりを指摘。民青同盟の相談相手となる党機関の体制確立がこの分野での前進をつくるカギとなると述べました。

 最後に、「党の前途を左右する青年・学生分野の党と民青同盟の拡大・強化の歴史的事業の成功のために、中央と地方が心を一つにして頑張りましょう。その先頭に立つ決意です」と述べて報告を終えました。

山下党建設委員会責任者のあいさつ

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(写真)あいさつする山下芳生党建設委員会責任者

 開会あいさつした山下氏は、第28回党大会第二決議にある「青年・学生と労働者、30代~50代など日本社会の現在とこれからを担う世代のなかで、党勢を倍加する」「民青同盟の建設を、党と民青の共同の事業としてやりとげる」提起について、若い世代のなかでの党づくりが党建設全体を左右する死活的課題となっているという認識に立ってのものだとのべました。「全国の青年学生部長のみなさん。党と日本社会の未来がかかった事業、大志とロマンあふれる事業である若い世代のなかでの党づくりをなんとしても成功させましょう」と呼びかけました。

 山下氏は、学生分野での党支部と民青班の現状を「リアルかつ率直に全国に知らせ、現状に見合った目標を提起することが欠けていた」と中央の弱点を率直に語り、前進の可能性と条件をつかみ、「党建設の現状をリアルに共通の認識にする」ことが不可欠だと強調。会議が「新機軸を打ち出すものになる」とのべました。

 最後に党大会後、青年・学生委員会を党建設委員会のなかの機構として位置づけ、「この分野での前進をかちとる体制をつくった」とのべ、ともに奮闘することを呼びかけました。

学生分野でも前進に転ずる歴史的チャンス

志位委員長の発言

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(写真)発言する志位和夫委員長

 志位和夫委員長は、討論のなかで発言しました。

新型コロナ対応――党の基本的姿勢について

 冒頭、新型コロナウイルスについてWHO(世界保健機関)が「パンデミック」(世界的流行)だと表明し、「国内的にも国際的にも長期にわたるたたかいが必要となる」なかで、どういう基本姿勢で党活動にとりくむか。志位氏は、二つの点を強調しました。

 一つは、「国民の苦難を軽減し、命を守るという立党の精神にたった活動」にとりくむことです。「感染拡大を防ぎ命と健康を守ること、暮らし・営業を守ることなど、国民の不安に寄り添って、困難の解決をめざす活動に、国会議員、地方議員、草の根の党員が力をあわせてとりくみましょう」とのべました。

 もう一つは、「感染防止のための対策に最善をつくしながら、落ち着いて、積極的に、強く大きな党づくりに力を尽くしましょう」とよびかけました。

 そのうえで学生の中で党と民青をつくる活動について三つの角度からのべました。

「共産党を除く壁」が崩れ、党の値打ちが輝く

 第一は、青年・学生分野でも強く大きな党と民青同盟をつくる歴史的チャンスだということです。

 志位氏は、自身の入党以来の経験を振り返りながら、「本当に今が歴史的チャンスの情勢だと感じます」と力説しました。

 国内的には「共産党を除く壁」が崩れた情勢の変化です。歴史を振り返ると、1970年代には全国に革新自治体が広がり、学生のなかでも党員が増え、同盟員が増えました。大きな力となったのは、「民主連合政府をつくろう」のよびかけでした。

 この流れを断ち切ったのは80年の社公合意でした。孤立を強いられた党が頑張りぬき、「壁」が崩れたのが5年前、新しい共闘の時代が始まりました。この共闘は70年代までの共闘と違い、国政レベルの共闘で、保守も含めた幅広い共同戦線ができていることです。「党の値打ちをうんと輝かせられる新しい時代になっています」と力を込めました。

“社会主義の新しい出番の時代が始まった”

 国際的には、90年代初めのソ連崩壊が大きな転機になりました。崩壊当初は「社会主義の終焉(しゅうえん)」といわれたが、いまではどうか。

 とくに21世紀に入って前向きの変化が起こっています。ジェンダー平等、格差是正、気候変動抑制などの課題で世界的な大運動がおこっています。アメリカの大手メディアの調査でも、とくに若者が「社会主義が必要だ」と答えています。志位氏は、「いまや資本主義が不公平の代名詞になり、社会主義が公正な社会の代名詞になっています」と語りました。

 志位氏は「世界を見ると、“社会主義の新しい出番の時代が始まった”。こういう情勢です。学生は知的に最も敏感な世代です。新歓でかつてない反応があります。この歴史的チャンスを党づくりに実らせる努力を一緒にやりましょう」とよびかけました。

惰性を吹っ切って、このチャンスを前進にむすびつけよう

 第二は、党の基本姿勢の問題です。中央自身がこれまでのとりくみについて自己検討したこと、新しい情勢にふさわしい積極果敢な姿勢を確立して新歓にのぞむことを強調しました。

 志位氏は「率直に言って、中央も含めて、“後退慣れ”、惰性を吹っ切らないと、せっかくのチャンスをものにできません」とのべました。大会後、機関紙、組織、青年・学生と三つの分野で全国会議を開きました。機関紙部長会議では「今月は後退してもしょうがない」という「しょうがない」論を吹っ切って前進しようと意思統一しました。組織部長会議では、「党員の現勢で毎月増やすことを自覚的にとりくもう」と意思統一しました。

 青年分野では、学生分野での党支部と民青班がどうなっているかを、リアルかつ率直に全国に知らせ、現状に見合った目標を提起する点で弱さがありました。いまある支部を発展させるとともに、民青への援助を強め、大学に党支部と民青を新たにつくっていく。党員と民青同盟員の拡大で昨年の2倍にする目標を掲げています。

 志位氏は、「学生党支部が空白だったA県で、まず結びつきからはじめて党支部、民青班をつくった経験が語られました。本気になればどの県でもやれるはずです。どの空白県もA県のようにとりくみ、党をつくり、民青をつくるとりくみを進めたい」とのべました。そのさい、「青年学生部まかせ、担当者まかせではなく、機関あげてとりくまないとできません」と機関全体でとりくむことをよびかけました。

改定綱領の魅力を、若者に縦横に語ろう

 第三は、改定綱領が学生分野での党建設を進めるうえでも大きな力になるということです。志位氏は中国に対する綱領上の規定の見直しを行ったことで「ジェンダー平等でも、格差拡大でも、気候変動でも、未来社会に向かう新しい“入り口”がたくさんできました」と強調。「若い人たちに当面する民主的改革の展望とともに、社会主義の魅力を大いに語っていきましょう。どうか改定綱領を学び、縦横に語っていただきたい」と訴えました。

討論から

 討論では、20人が発言しました。

 報告で触れた今日の学生の特徴と、これをふまえた「三つの希望」を語る提起を歓迎する発言が多く出されました。

 受験生が、「マルクス資本論を学びたい」「社会主義の学習をしたい」と加盟用紙に書いたり、アンケートの気になる社会問題で「資本主義の限界」をチェックし、「昨日、マルクスの動画を見た」と語ったりなど、資本主義を乗り越えた未来社会に関心を寄せ、加盟した経験が話されました。

 今年の学生新歓は驚くほど受験生との対話がすすみ、入試新歓では、数年ぶり十数年ぶりに加盟者を迎えたとの発言が相次ぎました。

 4月に大学の党支部、学生班が空白となってしまう県では、「何とかしなければ」と党が力を入れて、昨年の2倍の人数で入試新歓に取り組みました。十数年ぶりに、4人が民青に加盟し、4月の学生新歓本番へ一歩を踏み出しています。

 ある県の青年・学生部長は「小さな県でもできる」と語り、国公立大学の前期試験で16年ぶりに同盟員を2人迎えた経験を紹介しました。その土台には、党議員が地域のサークルで積極的に若者と結びつき、地区が集団的に取り組んだことがありました。

 報告などで学生分野のリアルな現状が示されたことも、驚きをもって受け止められると同時に、「自分の県でも学生支部の現状を語りながら、危機をチャンスに目標をやりきる」などの決意も語られました。

討論のまとめ

 辻慎一青年・学生委員会事務局長が討論のまとめを行い、4点を述べました。

 一つは、志位委員長の発言はこの会議の提起の核心をついたものと指摘。歴史的チャンスが解明されました。学生と響き合う経験が討論で生き生きと語られ、「三つの希望を伝えよう」という提起が客観的に裏付けられたとのべました。

 中央として自己分析し、危機的現状を率直にリアルに明らかにし、これに見合った目標を提起したことについて、自らの反省もふまえ「歴史的チャンスを生かす」うえでも党機関の力を引き出すうえでも重要だと強調。討論の中でも「学生はむずかしい」などの思いを乗り越えて、拠点大学に支部をつくる目標に心を定めてむかう決意を紹介し、「ここに光がある。確信をもって頑張りたい」とのべました。そして、改定綱領がチャンスを生かす力だと強調しました。

 二つは、新歓にむけ全国どこでも民青が迎えられるようになっていることが、交流されたことです。民青に学生を迎えるポイントは、“加盟をよびかける”や、4月に学内の条件を探ってとりくむことをのべました。

 三つは、党の青年・学生部の体制を強化する努力が各県で始まっていることです。

 四つは、今年、新しい方向にチャレンジするこの会議の方針を実らせることです。「学生支部が空白の県で党員を増やし、支部をつくるなど、学生の中で前進に転じるようお互いにがんばりましょう」とよびかけました。


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