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2019年12月31日(火)

野党連合政権めざして

高知知事選のたたかい

市民と合作の政策が力

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(写真)知事選結果をうけ、次のたたかいへむけ「がんばろう」と決意を固める松本顕治さん(中央)や支援者ら=11月24日、高知市

 日本共産党県常任委員の松本顕治さんを野党統一候補として推し、市民とオール野党の共同で初めてたたかった11月の高知県知事選。55人の国会議員(元職含む)が駆けつけ、草の根から共闘の絆が発展するなど未来につながる大きな財産を生みました。新たなステージに上がった高知の共同は、次のたたかいに向かっています。

20代が支持

 選挙後も注目されているのが、同知事選のNHK出口調査で20代の5割台半ばの支持を松本さんが得たこと。若い世代は自民党支持が強いという傾向を覆す結果は、どうして生まれたのか。

 年末、松本さんの選挙に関わった学生たちが集まりました。参加した大学2年生(19)は「高知県版学力テストを廃止し学力偏重の学校を変えるという松本さんの政策に共感した」と話します。松本さんを知り応援したきっかけは、SNSと友人の呼びかけ。「テストばかりの学校生活に苦しみ、不登校を経験しました。自分たちが生きる高知がどんな姿になるか、一人でも多くの人と一緒に考えたい」と、初めてラインで友人に投票を呼びかけました。

 選挙中、約700人の声を集めた「マツケン.come」(青年サポーター)の対話でも、高校生や教員から、学テをなくし教員を増やす教育政策に多くの共感が寄せられました。

 選挙と並行し国会では、大学入試への英語民間試験導入が大問題となり国民の関心を集めていました。高校生と野党の結束で英語入試を延期に追い込みました(11月1日)。国会共闘と高知での松本候補の訴えが共鳴しました。

 また、「給付制奨学金の実現」「高知のどこでも暮らせる賃金」「パートナーシップ条例」など、教育や生活をめぐる若い世代の思いにこたえた政策が共感を呼びました。

SNS発信

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(写真)知事選中、若者や市民の願いを聞き対話する「マツケン.come」のメンバーら=11月19日、高知市

 集めた願いは松本さんが演説で語りSNSでも発信。SNSで松本さんを知り「生演説を聞きたい」と高校生や若者が街頭に足を運ぶ姿は、夏の参院選でもなかった変化です。

 学生、母親、元教員など多様な人たちが自分の願い、自分の言葉で「ここでいっしょに生きよう。だれひとり取り残さない県政へ」の政策を発信。一人ひとりが選挙の主役になりました。松本さんは「県民の願いを受け、市民と野党で一緒に政策を練り上げたことが大きかった」と感じています。「一緒に政策を掲げ、オール野党で、共産党員である私を候補に県政をとりにいった。高知県版の野党連合政権をつくるとりくみだった」と語ります。

「反共」乗り越え、野党が塊に

多様な人と政権の土台つくる

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(写真)橋本敏男県議

 一緒に選挙をたたかった高知県議会会派・県民の会の橋本敏男県議(無所属)は「野党共闘は深化しました。でも反共イメージにぶつかったのも事実です。これをどう克服していくか。選挙を重ねながら、もっと野党がきちっとした塊になること、“変われる”と見せることが必要だと思う。野党連合のキーパーソンは、僕は共産党だと思います」と話します。

 高知県知事選では、県内5野党、高知憲法アクション、連合も同席して協議し、夏の参院選でも善戦した共産党の松本さんを統一候補に推しました。

前に進むために

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(写真)上田周五県議

 橋本さんは何人もの支援者から「おまえは共産党になったのか!」「もうおまえの選挙はせん」とまで言われながら、自分の選挙のように奮闘しました。

 松本選対の幹事長を務めた県民の会の上田(あげた)周五県議(無所属)も、支持者から「(松本さんを)広めよったけんど、その話(党籍問題)が出る」と言われました。「どうやったら壁を乗り越え前に進めるかを考えないといけない。次の衆院選で自然の塊をつくるのが一番のポイントやないろうか」

 共闘を強めるために“共産党アレルギー”を相互の努力で乗り越える―。共産党の松本さんを候補に推し、本気でたたかったからこそ見えた課題であり、連合政権の土台にもなる動きです。

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(写真)武内則男衆院議員

 知事選で初めて作った共同選対では、選対本部長に保守政治家の広田一衆院議員、5野党の県連代表が副本部長に。副本部長を務めた立憲民主党の武内則男衆院議員は「共同が深化するほど乗り越えなければならない葛藤が私自身にもある。しかし、安保法制をめぐる4年前の運動から、みんなで目指す国家や社会の在り方を共有してたたかい、なんでも話し合える信頼関係を育ててきた。政権を担いうる大きな塊はつくれる」と語ります。

地域の共同選対

 知事選を通じ、県内全5ブロック、34市町村のほぼすべてに野党共同の体制が広がりました。選挙後、次の総選挙をはじめ、自民党政治の転換をめざす「草の根の共同」が続いています。

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(写真)嶺北地域の共同選対メンバー。右から鈴木大裕・土佐町議、嶺北ブロック選対の松繁美和支部長(県原水協事務局長)、中山百合・本山町議(共産党)=19日、高知県本山町

 高知県北部の山間地、嶺北(れいほく)地域(本山町、大豊町、土佐町、大川村)。知事選で初めて共同で選挙にとりくんだ共産党や社民党、無所属の議員、市民らが、選挙後も集まりを継続しています。「お疲れさん会」には、最初に集まったメンバーよりも多い数十人が参加。「春に自費で桜を見るコンサートをやろう」「定数1の県議選でも共闘候補を立てたい」と話しあっています。嶺北では、全自治体で参院選よりも松本さんの得票を増やしました。

 土佐町で選対支部長を務めた鈴木大裕(だいゆう)町議(無所属)も今回初めて野党共同に加わった一人。教育研究者として政策づくりにも参加しました。

 「今回初めて出会った人たちがいて、共感しあい、一緒にたたかうことができたことが財産です。共産党アレルギーもありましたが、陰で応援してくれた自民党員もいた。理念を掲げ、多様な人が一緒にできるようオープンな野党共闘を進めていくことが大事だと思う。草の根のネットワークをどんどん強くしたいですね」(伊藤幸)


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