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2019年12月17日(火)

主張

COP25の閉幕

気候危機打開へ行動強化こそ

 スペインのマドリードで開かれていた国連の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)は2日間会期を延長し、15日閉幕しました。交渉の末、温室効果ガス削減目標の引き上げを各国に促す文言が盛り込まれた会議の成果文書が全会一致で採択されました。

削減目標引き上げよ

 温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の本格実施を来年に控えたCOP25は、気候危機に若者をはじめ多くの人々が各国政府に取り組みの加速を強く迫る中で開かれました。しかし、今回の合意はその切実な願いにこたえるものではありません。各国は問題の先のばしでなく行動強化に踏み出すことが必要です。

 パリ協定は今世紀末までの気温の上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることをめざしています。しかし現状では、各国が国連に提出した排出削減目標をたとえ達成しても、気温上昇を3・2度に抑えることにしかなりません。

 COP25では2050年までに二酸化炭素(CO2)などの排出を実質ゼロにするため、20年の排出削減の国別目標を見直して「野心的な」目標引き上げを表明する国が121カ国に広がりました。

 まとまった成果文書には「各国が20年に可能な限り最も高い野心を持って、現行の温室効果ガス削減目標を引き上げることを求める」などの文言が入りました。

 自発的な努力を促したもので拘束力はありませんが、各国は来年、「パリ協定」にもとづき現行の目標を見直すことになっています。今回の合意を目標引き上げに向けた機運を世界的に高めることにつなげることが不可欠です。

 「パリ協定」の運用ルールの一つである温室効果ガス削減量の国際取引については合意できず、来年のCOP26に先送りされました。「パリ協定」に実効性をもたせるために各国政府のいっそうの努力が求められます。

 安倍晋三政権が目標引き上げで意思表明を全くしなかったのは重大です。温室効果ガス排出量を実質ゼロにする期限を示していません。世界の流れに逆らう姿勢が浮き彫りになっています。

 さらに石炭火力発電所に固執する姿勢は、世界の怒りを買いました。COP25会場で、温暖化対策に消極的で交渉の足を引っ張るなどした国に、国際環境NGOのCAN(気候行動ネットワーク)が贈る「化石賞」に日本が2回も選ばれました。

 1回目は、梶山弘志経済産業相が「石炭火発、化石燃料の発電所は選択肢として残しておきたい」(3日)と述べたことに、2回目は、小泉進次郎環境相が11日のCOP閣僚級会合で、石炭火力発電廃止を口にしなかったことなどに対してです。

 安倍政権は国際社会からの批判を受けとめ、ただちに抜本的な政策転換をはかるべきです。

痛切な声にこたえよ

 スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんはじめ世界の若者らが将来の温暖化の犠牲になるのは自分たちという痛切な声をあげ、行動を広げています。気候危機はすでに世界各地で深刻な事態を引き起こしています。

 残された時間はわずかです。全ての国が20年をこれまで以上の行動をとる年にしていくことが重要になっています。


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