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2019年12月12日(木)

主張

佐世保・揚陸艦配備

「侵略力」の強化許されない

 米海兵隊部隊を輸送し、海からの上陸作戦を支援する最新鋭の揚陸艦が今月上旬、米海軍佐世保基地(長崎県佐世保市)に相次いで配備されました。佐世保基地の揚陸艦は、沖縄を拠点にした米海兵隊部隊とともに、海外への遠征作戦を行うことを主な任務にしています。新たな揚陸艦の配備は、米海兵隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Bの運用能力を大きく高めることが狙いで、海外への「侵略力」を強化する危険な動きです。

岩国・沖縄と一体の動き

 佐世保基地には、6日に強襲揚陸艦「アメリカ」(全長約257メートル、満載排水量約4万4970トン)が、1日にはドック型輸送揚陸艦「ニューオーリンズ」(同約208メートル、同約2万4900トン)が配備されました。「アメリカ」はこれまで佐世保基地を母港にしていた強襲揚陸艦「ワスプ」との交代で、「ニューオーリンズ」は新たな配備です。

 強襲揚陸艦は、航空母艦(空母)のように、船首から艦尾までつながる飛行甲板を持ち、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイやヘリ、短距離離陸・垂直着陸機のF35Bなどを運用します。船体内には、「ウェルドック」と呼ばれるドック式の格納庫があり、エアクッション型上陸用舟艇(LCAC)などを搭載し、艦尾からの発進・収容が可能です。

 しかし、「アメリカ」は、「ウェルドック」を廃止し、航空機の搭載数や燃料、兵器類の積載量を増大させ、「海兵隊のF35B統合打撃戦闘機の能力を最大限に活用することを目的」(米海軍報道資料)に建造された新型の強襲揚陸艦です。佐世保基地への配備は、2017年に米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)にF35B16機が初配備されたことに連動した措置です。

 「ニューオーリンズ」は、ウェルドックを備えており、LCACなどを搭載できない「アメリカ」を補完するために追加配備されました。この結果、佐世保基地を母港にする揚陸艦部隊(第11水陸両用戦隊)はこれまでの4隻から5隻に拡大しました。以前から佐世保基地に配備され、機雷の除去を任務にする4隻の掃海艦と合わせれば過去最大の9隻となります。

 佐世保基地の揚陸艦は、沖縄に司令部を置く「第31海兵遠征隊」を乗せて作戦を行います。

 第31海兵遠征隊は、沖縄県各地の海兵隊基地に駐留する地上戦闘部隊や後方支援部隊、普天間基地(同県宜野湾市)配備のオスプレイや輸送・攻撃ヘリ、岩国基地のF35Bの航空部隊などで構成されます。米国が2003年に開始したイラク侵略戦争では、04年に佐世保基地の揚陸艦で出撃し、大量の市民を殺害したファルージャ総攻撃の最前線に立っています。

 最新鋭揚陸艦の配備は、佐世保・岩国・沖縄一体となった基地機能の強化、部隊増強の一環です。

世界で例がない異常事態

 米軍の揚陸艦部隊、F35B戦闘機部隊、海兵遠征隊が駐留している国は、米国を除けば日本だけです。米原子力空母が配備されているのも日本だけです。それは、来年締結60年を迎える現行日米安保条約の下、日本が米国の世界戦略にとって最重要な前進拠点になっているためです。

 世界に例のない主権侵害の異常事態をこれ以上許していいのかが根本から問われています。


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