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2019年10月10日(木)

きょうの潮流

 人工知能(AI)の時代に必要なのは、人間らしさを確かめ合うこと。囲碁のプロ棋士がAIとの向き合い方を説いています▼囲碁の一手一手は言葉のようなもの。打つ石には、その人の経験や感情、想像といったあらゆるものが乗っている。どうしてそこに打ったかの「どうして」の中にこそ、人間ならではの価値が見えるのではないか(王銘琬『棋士とAI』)▼AI時代の申し子といわれる19歳の芝野虎丸さんが、史上初の10代名人になりました。2年前、本紙主催の新人王を獲得した際に「七大タイトルは挑戦すること自体大変ですが、目標」と話していましたが、最年少記録をぬりかえる快挙で成し遂げました▼幼稚園のときに父親が買ってきたゲームで囲碁を覚え、ネットで腕を磨いたといいます。たけだけしい名前とは裏腹におとなしく穏やか。細身で声は小さく、対局中の所作は静かで石を置くときもそろりと。しかし、その碁は鋭く、決断力も抜群。並み居るプロ棋士も目を見張る手筋からの攻めは、まさに虎のごとし▼「彼は碁を打つために生まれてきた。いつも碁と一緒にいる」。趙治勲名誉名人が評するように寝ているときと食べているとき以外は碁を勉強していると答えています▼確固たる自分の考えをもち、そこにAIの感覚を取り入れていく。同世代には強いライバルがひしめき合います。「自分なんかが名人でいいのかな」と謙虚な若者が、これから碁を通してどんな人間らしい作品をつくっていくのか。楽しみです。


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