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2019年9月26日(木)

主張

「気候危機」の打開

若者の声に安倍政権は応えよ

 地球温暖化対策を加速するために開かれた国連の気候行動サミット(23日、米ニューヨーク)では、77カ国が2050年までに温室効果ガスの排出を「実質ゼロ」にすることを表明しました。今世紀末までに産業革命前からの気温上昇を1・5度未満に抑えるには不十分ですが、「世界は目覚めつつある」「機運は増している」(グテレス事務総長)ことを示しています。

 この中で安倍晋三政権はサミットで発言の機会さえ与えられず、存在感が全くありません。温室効果ガス削減の目標積み増しに応じようとしない日本政府への国際的な批判は強まるばかりです。

未来の世代を裏切るな

 サミット冒頭では温暖化対策を求める若者たちの行動「未来のための金曜日」を世界に広げたスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(16)が各国首脳を前に、「未来の世代の目はみなさんに注がれている。もし私たちを裏切ることを選ぶなら言おう、私たちはみなさんがこの問題から逃げることを許さない」と声を震わせて訴え、反響をよびました。

 20年に本格始動する温暖化防止の世界的枠組み「パリ協定」は、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑える目標を掲げます。しかし、国連が22日発表した報告書でも、世界の平均気温と、二酸化炭素の排出量は過去最高を記録しています。危機的事態を打開するためには各国の真剣な取り組みが不可欠です。サミットで、パリ協定達成のために目標の上積みや対策強化の表明が相次いだことは、若者をはじめとする国際世論の反映です。

 一方、パリ協定から離脱表明している米国のトランプ大統領が10分程度会場に顔を出しただけで発言もないなど、地球的課題に背を向ける姿勢も浮き彫りになりました。日本政府の姿勢も深刻です。安倍首相はサミットに参加せず、小泉進次郎環境相が出席しました。6月に大阪で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20)を機に、気候変動問題などで「力強いリーダーシップを発揮する」(安倍首相)と大見えを切ったのとかけ離れたものです。日本に発言機会が与えられなかったのは、温室効果ガス削減目標の上積みに応じなかったためと指摘されています。

 日本は50年までに温室効果ガスを80%削減するという16年に決めた目標を変えていません。30年の削減目標は13年比でわずか26%で、主要国では最低レベルです。

 6月に閣議決定した温暖化対策の「長期計画」では、「実質排出ゼロ」の時期を「今世紀後半のできるだけ早期」としているだけです。

中身のない言葉でなく

 温室効果ガスの排出が突出して多い「石炭火力発電」の日本国内での新増設を認め、海外での新設計画に資金援助をしていることが批判を受けています。

 昨年7月決定した「エネルギー基本計画」では、石炭火力の電源構成の割合を30年度も26%を維持するとしました。これは再生可能エネルギーの割合22~24%を上回っています。エネルギー基本計画の撤回、「長期計画」の抜本的な見直しが必要です。

 踏み込んだ具体的な対策を示さず、「中身のない言葉」(グレタさん)を発信するだけでは、世界からも次の世代からも見放されることにしかなりません。


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