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2019年9月12日(木)

メキシコ国境の壁

日本が費用分担も

「思いやり予算」増額の危険

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 米国防総省はこのほど、米国内外合わせて127事業の軍事建設費用36億ドル(約3800億円)を、中南米からの麻薬の流入を防ぐためなどとしてトランプ米大統領が命じたメキシコ国境の壁の増設のために転用する方針を表明しました。国防総省は穴埋め費用について日本を含む同盟国と協議する考えを示しており、波紋が広がっています。

 エスパー米国防長官は、壁の建設は「安全保障任務を果たすための効果的な手段であり、武力行使が必要となる緊急事態の場合には軍事建設事業を容認する合衆国法典に準ずるもの」だと表明し、費用の転用を決めました。工事は、国防総省の所有地であれば130~145日以内に開始されます。

 36億ドル中18億ドルは海外基地に充てられていた費用です。うち14事業は横田基地(東京都)などの在日米軍基地に関するもの(表)で、総額は4億568万1千ドル(約436億円)に上ります。ホフマン米国防次官補は3日、記者団に対し、「費用の回収のため、海外での建設事業のための負担分担について、同盟国、友好国と協議する」と表明。こうした考えについて、すでに日本などに伝えていると言います。日本の防衛とは何ら関係のない「壁」のために日本国民の税金が投入され、米軍「思いやり予算」が増額される危険があります。

 また、沖縄に駐留する米海兵隊をグアムに移転させるという計画が進んでいましたが、受け入れの費用・8事業に使われるべき2億5733万8千ドル(約276億円)が壁建設へ転用されてしまったために、米海兵隊の沖縄からの移転がさらに遅れる可能性があります。(石黒みずほ)


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