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2019年8月31日(土)

リニア工事・流量減少問題

“湧水は全量戻せ”

利水関係者ら JR東海を批判

静岡意見交換会

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(写真)JR東海の担当者に意見を述べる利水関係者ら=29日、静岡県庁

 静岡県内のリニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量減少問題をめぐり、県庁で29日、流域市町や利水団体とJR東海の意見交換会が初めて開かれました。JR東海が全量を戻すのは困難と表明したことから「約束を守って」「確実に全量を戻す手法を」など厳しい意見が相次ぎました。

 JR東海は、湧水全量を戻すといいながら、隣接する山梨、長野両県とトンネルがつながるまでは湧水が流出する期間が生じるとしています。特に山梨県境には畑薙(はたなぎ)山断層があり、突発湧水などが予測され、JRの担当者は「湧出を完全に防ぐ現実的な対処は難しい」と説明しました。

 島田市の染谷絹代市長は「確実に戻すことを前提として議論が進められてきたと認識している。大井川流域は過去に水を得るのに大変苦しみ、水取り返せ運動もあった。大井川の水は経済活動の根幹であり、一滴たりとも失うことはあってならないというのが地元の切実な思い。湧水全量を取り戻す具体的な手法について、納得できる説明を」と求めました。

 利水関係者からは、ポンプアップされた水が田代ダムを通して山梨県へ流出する懸念や、中下流域の地下水への影響、大井川源流部での水の減少による環境破壊の懸念など多岐にわたる意見が出されました。

 交換会後の会見で、川根本町の鈴木敏夫町長は「水なし川がしばらく続き、水返せ運動をやった当事者でもある。県内に全量流すのが基本的な原則」と主張。大井川土地改良区の内田幸男理事長も「全量戻すと最初に言った約束が守られていない。戻す方法を全力あげて考えていただきたい」と訴えました。

 JR東海の新美憲一・中央新幹線推進本部副本部長は、全量を戻すとした同社の方針について「約束したわけではない」などと発言しました。


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