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2019年6月26日(水)

主張

年金7兆円削減

「減らない制度」への転換こそ

 厚生年金だけでは老後資金が2000万円不足するなどとした金融庁の審議会報告書を契機に、年金不安が高まり、現在の年金水準引き下げの仕組み「マクロ経済スライド」の是非が議論になっています。安倍晋三首相は先週、この仕組みの廃止を拒み、その理由として「7兆円の財源が必要」と述べました。国民が受け取るはずの年金が「マクロ経済スライド」によって7兆円規模で削減されることを認めた重大な発言です。「マクロ経済スライド」を廃止し、「減らない年金」を実現することが必要です。年金制度のあり方は、7月の参院選での大争点です。

大打撃もたらす現行制度

 「マクロ経済スライド」は、自民・公明政権が2004年の年金法改悪で導入しました。年金額を決める時に、物価・賃金が上昇していても、その分より年金引き上げ幅を低く抑え込み、実質的に削減するものです。これらの仕組みによって安倍政権の7年間に年金は実質6・1%も減りました。この仕組みのもとでは現在41歳の人が65歳で年金を受け取れるようになるまで減らされ続けることになります。「100年安心」などという宣伝は全く成り立ちません。

 しかも、安倍首相は党首討論(19日)で、日本共産党の志位和夫委員長が提起した「マクロ経済スライド」廃止と財源を示した具体的対案について「ばかげた案」と否定するとともに、「7兆円の財源が必要」と言い出しました。22日のテレビ番組でも同様の発言を繰り返しました。これは国民が受け取れるはずの年金が「マクロ経済スライド」で7兆円も削られるということの表明です。政府は従来、この仕組みでどれくらいの規模で年金削減になるかという数字を隠してきました。それが首相の口から明らかにされたのです。

 党首討論後、厚生労働省が志位氏に提出した資料には、40年時点で本来25兆円になるはずの基礎年金(国民年金)の給付額が18兆円に抑え込まれることが示されていました。国民年金はいまでさえ40年間保険料を払っても月6万5000円にしかなりません。それが約4万5000円にまで減る計算です。暮らしに大打撃をもたらす「マクロ経済スライド」の深刻な実態を浮き彫りにしています。

 “貧しい年金”をさらに貧弱にする仕組みをやめて、減らさず底上げする改革こそ急務です。日本共産党は、「マクロ経済スライド」廃止のため、▽高額所得者優遇の保険料・給付の見直しで年金財政の収入を1兆円規模増やす▽約200兆円にのぼる年金積立金の「温存」をやめて計画的に取り崩して活用をする▽根本的対策として、年金の支え手である現役労働者の賃上げなどで保険料収入と加入者を増やし年金財政を安定化させる―ことを提起しています。消費税増税とは別の財源を確保し、低収入の年金生活者の年金額の上乗せ給付も不可欠です。これらを第一歩に、最低保障年金制度確立など抜本的改革をすすめます。

安心して頼れる仕組みに

 国民の暮らしが保障できなくては、年金制度の「持続性・安定性」といっても意味がありません。安心できる年金は老後の暮らしの支えであるだけでなく、高齢者の消費増につながり、地域経済にも貢献します。頼れる年金の実現のため、力を合わせましょう。


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