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2019年6月5日(水)

主張

高すぎる国保料

引き上げ圧力強化は許されぬ

 安倍晋三政権が、いまでも高すぎる国民健康保険料(税)のさらなる引き上げへ自治体に圧力をかける議論をすすめています。政府の経済財政諮問会議や、財務省の財政制度等審議会では、「国保の財政運営」が主要議題の一つに据えられ、住民の保険料軽減に努力している市町村独自の財政繰り入れを早くやめさせることなどが盛んに強調されています。独自の繰り入れがなくなったら、住民の支払う保険料はいっそう高騰し、暮らしはとても立ち行きません。安倍政権が推進する国保料引き上げにストップをかけ、大幅引き下げを実現することが必要です。

自治体の努力を問題視

 国保料の連続・大幅引き上げは、安倍政権が2018年4月から開始した「国保の都道府県化」で、拍車がかかっています。都道府県化は、市区町村ごとだった国保の財政運営を都道府県が集約することを通じ、市区町村が独自に財政から繰り入れて実施していた国保料の減免措置をやめさせることが狙いです。そのために都道府県が設定する「標準保険料率」に合わせて、国保料引き上げを市区町村に強要する仕掛けを導入しました。この仕組みが本格化する中で、国保料をアップする自治体が全国で広がりをみせています。

 しかし、市区町村には「標準保険料率」に従う法的義務はありません。住民の運動や要望にこたえ、独自繰り入れを続けて国保料値上げを抑えたり、引き下げたりする自治体も少なくありません。そういう努力をしている自治体の姿勢を問題視し、繰り入れを早くやめさせるための対応を強めるべきだ、という議論が政権内で繰り返されていることは重大です。

 5月31日の経済財政諮問会議には経団連の中西宏明会長らの連名で、「国保の都道府県化を契機」に自治体独自繰り入れの「早期解消を促す」こと、国保料アップにつながる「都道府県内の保険料水準の統一」の促進などを求める文書が出されました。同13日に大阪市で開かれた財政制度等審議会の地方公聴会でも国保が大テーマになり、大阪府副知事が、国保を府に「統一」し、府が保険料率を決め、市町村の独自繰り入れをやめさせる「維新府政」の取り組みなどを紹介しました。高騰する国保料に住民が苦しめられる深刻な現実は置き去りにされています。

 さきの経済財政諮問会議では、国のやり方を先取りしている大阪府などの例は「優良・先進事例」だとして、お墨付きを与え、「全国展開させていかなければ」と強調されています。住民の暮らしを壊す国保料の連続・大幅アップ推進の手法を「優良」扱いし広げることは許されません。

公費投入で引き下げこそ

 いま必要なのは、国保料引き上げでなく大幅引き下げです。国保加入者の所得は低いのに、保険料は「協会けんぽ」など他の医療保険と比べ高くなっていることが構造的な大問題です。全国知事会などは、公費投入を増やして国保料を下げることを要望しています。

 公費を1兆円投入すれば、抜本的な引き下げが実現できます。年収380万円の4人世帯で全国平均約15万円下げられます。大企業や富裕層の優遇税制をただせば、消費税に頼らず財源は確保できます。国保料引き下げの世論と運動を広げることが急務です。


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