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2019年5月12日(日)

きょうの潮流

 淑女であれ、そして自立せよ。敬愛する母からの教え。それは学びたくても学べず、外で働くこともかなわなかった母から託された願いでもありました▼ニューヨークの貧しいユダヤ人家庭に生まれた少女は幼い頃から正義や法律、ことばに興味を抱いてきました。優秀な成績で大学に進み就職しますが、先々で差別にぶつかります。女性、母親、人種。しかし立ちはだかる壁を、法で打ち破っていきます▼彼女の名はルース・ベイダー・ギンズバーグ。86歳になる今も現役の最高裁判事です。女性や少数者の権利を広げ、人権を守る多くの裁判にかかわり、世の隅々にはびこる不公正、不平等を変えてきました▼法廷でのたたかいは高く評価され、現在の女性が法律で守られているのは彼女の功績の恩恵といわれるほど。米国の民主主義を象徴するような存在と劇的な人生は世代をこえて支持され、日本でもドキュメンタリー映画が公開中です▼公然と差別を口にするトランプ大統領の痛烈な批判者でもあるギンズバーグ。#MeToo運動の先駆けとして、名前の頭文字を表す「RBG」は文化現象にもなっています▼最高裁の判事に任命されたとき。彼女は母のことを話し出しました。「もし今の時代に生きていたら、きっと自分の未来を夢見たはず。自分が母に代わってその夢を実現していることになるなら、こんなにうれしいことはない」。真の変化とは一歩ずつもたらされていくもの―。彼女の信念は次の世代にも引き継がれていきます。


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