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2019年3月27日(水)

原発事故 国断罪6度目

愛媛避難者訴訟 津波予見できた

松山地裁

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(写真)「勝訴」の報告をする支援者ら=26日、松山市

 東京電力福島第1原発事故で福島県から愛媛県に避難した10世帯25人が国と東電に計約1億4千万円の損害賠償を求めた愛媛訴訟の判決が26日、松山地裁(久保井恵子裁判長)でありました。久保井裁判長は、巨大津波を予見できたし対策を講じることは可能だったとして、国と東電の責任を認め、23人に計約2700万円の支払いを命じました。

 判決で久保井裁判長は、2002年に地震調査研究推進本部が公表した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(以下、「長期評価」)の見解を「客観的かつ合理的根拠を有する知見」と評価。見解を踏まえて試算すれば、02年末の時点で「津波は予見可能であった」としました。

 その上で事故回避に向けて非常用ディーゼル発電機の設置された建屋などの水密化対策を講じることは可能だったとして、国による東電への規制権限の不行使は「著しく合理性を欠く」と判断しました。

 また避難指示区域外からの、いわゆる自主避難者への賠償についても、避難は「社会通念上相当性が認められる」とし、30万~80万円の慰謝料を支払うよう命じました。

 松山地裁前では、集まった支援者らが「やった」と歓声をあげるとともに拍手が起きました。

 記者会見で、福島原発事故避難者裁判えひめ弁護団の野垣康之弁護士は「6度、司法の名において、国と東電の加害責任を明確にした。加害責任をめぐる議論に決着がついたものと言える」と評価しました。

 また福島県南相馬市から避難している原告団代表の渡部寛志さん(40)は、国の責任を認めたことを評価するも「この賠償額では生活再建がはかれるものではないと思う」と述べました。

完全救済早く

 「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!福島原発訴訟原告団」の中島孝団長の話 判決は、国の責任を認めました。2002年に公表した地震予測の「長期評価」は信頼性があり大津波の予見ができたとしています。さらに、結果回避については水密化対策で可能とし、国の責任を否定した千葉地裁の不当判決の流れを断ち切りました。ただ、賠償水準が被害実態に見合ったものとなっておらず、不十分です。国は一日も早く法的責任を認めて完全救済にのりだすべきです。


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