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2018年12月18日(火)

原発輸出すべて暗礁に

日立 英で計画延期も

経団連会長「もう限界」

 日立製作所が英国で進めている原子力発電所の建設計画をめぐり、2019年中としてきた建設に関する同社の最終判断が遅れる可能性が出てきました。安倍晋三政権が「成長戦略」の柱としてきた原発輸出は、米国、ベトナム、台湾、リトアニア、トルコと次々に失敗しており、全て暗礁に乗り上げることになります。


 原発は、東京電力福島原発事故を受けて事故対策など建設費が大きく膨らみ、事業として成り立たなくなっています。そこで、政府100%出資の日本貿易保険を活用しようとしているのが日立の英原発計画です。事故や事業失敗の場合は日本国民の負担となります。同時に安倍政権は、海外事業を支えるため国内で原発を再稼働させています。日立の英原発建設が失敗となれば、こうした安倍政権の原発建設戦略が総破綻することになります。

 日立は年内に、実施主体の英原発子会社に出資する企業の選定にめどを付ける方針でしたが、複数の関係者は16日までに「年内の出資企業確保は困難」と指摘しました。このため、最終判断が遅れ、20年代前半を目指す運転開始時期も延期されかねない情勢です。

 日立は英原発子会社を通じ、20年にも英中西部のアングルシー島で原発2基の建設工事に着手する計画。ただ、同子会社への出資比率を現在の100%から50%未満に引き下げ、経営リスクを抑えることが前提となっています。

 しかし、関係者によると、日立が採算確保に向け、英政府に資金支援などを求めてきた交渉は決着しておらず、本格的に出資企業を募る段階に至っていないといいます。

 総事業費が3兆円規模と想定を大幅に上回る見通しになる中、日立は今年6月、計画実現を目指し、英政府と本格交渉に入ることで合意しました。両者はこれまで、英側による2兆円超の融資や3000億円程度の直接出資などを検討してきましたが、決着していないもようです。

 中西宏明経団連会長(日立製作所会長)は17日の記者会見で、日立が英国で進めている原子力発電所の建設計画に関し、「難しい状況というのは事実だ」と語りました。その上で「もう限界だと英国政府には伝えている」と述べ、現状のままでは凍結せざるを得ないとの見方を示しました。

 中西氏はこうした理由について、中国の原子力大手とフランス電力公社による英原発計画ほどの収支が見込めず、日本側から出資を集めにくいことなどを挙げました。


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