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2018年10月30日(火)

主張

消費税10%の増税

集め方も使い方も格差拡大だ

 安倍晋三首相が来年10月からの消費税率の8%から10%への引き上げを強行する立場を繰り返しています。消費税はもともと低所得者ほど負担が重い逆進的な税金であるうえに、今回の増税は「軽減税率」の導入など格差をいっそう拡大する中身です。社会保障などに必要な財源は、消費税に頼らず、経済の立て直しと大企業や高額所得者の適切な負担で確保すべきで、消費税増税は中止すべきです。

低所得者ほど負担が重い

 生活必需品を含め原則としてあらゆる商品やサービスに課税される間接税=消費税が逆進的な税金であることは、マルクスが活動した19世紀から問題になってきたことです。同じ時代の政治学者ラサールは『間接税と労働者階級』という本の中で、間接税は「比較的貧困な階級に過大な負担をかける」と批判しました。

 生活必需品への課税は低所得者層や年金に頼る高齢者の生活を直撃しますが、所得が100倍あっても生活必需品は100倍も消費するわけではありません。所得が多い人ほど負担を多く求めることができる累進的な所得税など直接税と違って、消費税が逆進的なものになるのは明らかです。

 安倍政権は今回の増税では食料品などの税率を据え置く「軽減税率」を導入するといいます。「軽減」と言っても現在の8%の税率はそのままなので、軽減でも何でもありません。

 1パック500円の肉を買う人は40円の消費税を払わされ、10%に引き上げられた時と比べ負担は10円しか違わないのに、1万円の高級肉が買える人は800円の消費税を払っても負担が200円違うことになるなど、不公平を拡大します。

 「しんぶん赤旗」が非課税品目などを考慮して試算した結果でも、年収2000万円以上の世帯の所得に占める消費税の負担割合は8%で1・5%、10%で1・8%なのに対し、200万円未満の世帯では8%で8・9%、10%では10・5%にもなります(19日付)。低所得者が消費税率より高い負担率を押し付けられる異常な実態を浮き彫りにしています。

 安倍政権が10%への増税にあたって実施する「キャッシュレス」やクレジットカードで買い物すればポイントで還元するというのも、そうした決済を利用しない高齢者などには何の恩恵もありません。自動車や住宅などの減税も購買力がなければ無縁です。

 安倍政権は、「幼児教育の無償化」を盛んに宣伝しますが、保育園に入園できない人たちの負担は減りません。

零細業者は排除の恐れも

 消費税は売り上げにかかった税額から仕入れにかかった税額を差し引いて納税する仕組みです。増税4年後の2023年10月からは仕入れにかかった税額を証明する「インボイス」が求められます。年商が1000万円以下の免税業者は発行できないので、取引から排除される恐れがあります。消費税増税は消費者だけでなく零細業者にも格差を拡大します。

 安倍政権は大企業や高額所得者の利益を増やすとともに、大企業減税で政権復帰以来4兆円以上も減税しました。大企業や高額所得者の適切な負担で消費税増税を中止するとともに、安倍政権を退陣に追い込むことが不可欠です。


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