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2018年10月7日(日)

主張

異常突出の軍事費

さらに膨張させるというのか

 安倍晋三政権が年末に向け、日本の軍事力のあり方や水準を定める「防衛計画の大綱」と今後5年にわたる「中期防衛力整備計画」を新たに策定する作業を進めています。焦点の一つは、軍事費です。安倍政権の下、軍事費は6年連続増額され、2019年度の概算要求は米軍再編関係経費などを含め実質5兆5000億円超になっています。それにもかかわらず、岩屋毅防衛相は「まだ足らざるものがある」(2日)と、さらに拡大の意向を示しています。朝鮮半島をはじめ北東アジアの緊張緩和の動きに逆らい、暮らしを圧迫する軍拡は許されません。

GDP2%目標を「念頭」

 自民党は今年6月、新たな「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」(中期防)の策定に向けた提言を安倍首相に申し入れています。提言は、軍事費の規模に関し、NATO(北大西洋条約機構)がGDP(国内総生産)の2%を目標にしていることを「参考」にするよう求めました。

 18年度の日本のGDPは564兆3000億円で、その2%は11兆2860億円です。18年度の日本の軍事費5兆1911億円の2倍超です。

 今月2日の内閣改造で初入閣した岩屋防衛相は就任会見で、自民党の提言づくりに「私も参加していた」としつつ、「GDPの2%というのは決してリアリティー(現実性)のある数字ではない」と認めました。一方で「現状のままで大丈夫かと言うと、そこはまだ足りない部分もある」「(NATO)各国ともに努力していることも念頭に置きながら、今後の大綱・中期防を考えていかなければならない」と述べ、軍事費を大幅に増額する考えを表明しました。

 日本の軍事費は、安倍首相が12年末に政権復帰してから増加に転じ、16年度には史上初めて5兆円を突破し、その後も拡大し続けています。岩屋防衛相の発言は、異常突出する安倍政権の軍拡を一層加速させようというものです。

 安倍首相がトランプ米大統領に米国製兵器の購入を約束していることも重大です。

 大統領は、9月の国連総会の際、首相に対し「私のために尽くさなければならない。われわれは巨大な(貿易)赤字を欲しない。もっと(米国製品を)買わなければならない」と迫ったことを明かし、「彼らは膨大な量の軍事装備品を買うことになる」と語りました。菅義偉官房長官も、首相が日米首脳会談(9月26日)で「米国装備品を含め高性能な装備品を導入することがわが国の防衛力強化にとっては重要だ」と大統領に伝えたことを認めています。

米国からの武器購入加速

 米国からの兵器購入は、FMS(有償軍事援助)が中心です。FMSは、岩屋防衛相もかつては「よその国が作ったものを言い値で買う、ブラックボックス付きで買う、いつできるか分からない、価格がどうなるかも分からないという調達の仕方」(12年6月15日、衆院安全保障委員会)と述べていたものです。19年度概算要求で6917億円にもなるFMSがさらに膨れ上がる危険があります。

 安倍政権はこれまで、社会保障など国民に必要な暮らし関連予算を容赦なく削減・圧縮してきました。国民生活を犠牲にした軍拡路線の転換が急務となっています。


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