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2018年9月18日(火)

2018とくほう・特報

北電と安倍政権の責任 北海道全域停電は人災

コスト・原発優先が招く

 震度7の胆振(いぶり)東部地震による北海道全域停電(ブラックアウト)は、537万道民の日常生活と、本州の食料を支える農水産(加工)業などに甚大な被害を与えました。地震から1週間。道内を歩くと「北海道電力(北電)による人災」だとの声とともに、今回の事態を教訓に原発・原子力を優先する安倍政権のエネルギー政策こそ大転換すべきとの声があがっています。(阿部活士)


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 北電経営陣は、全域停電させたことについて道民への謝罪会見を開かず、全域停電にいたった経過の情報公開も説明責任も果たしていません。

 地震が起きた6日深夜、どんな発電体制をとっていたのか。北電が明らかにしている火力では、苫東厚真(とまとうあつま)(石炭)発電所の3基(最大165万キロワット)と、2基ずつある奈井江(石炭、最大35万キロワット)、知内(しりうち)(重油、最大70万キロワット)、伊達(重油、最大70万キロワット)の各発電所の各1基を主力として発電していました。

 インフラ・公益事業の公共性に関する著書がある北海学園大学の小坂直人教授は、「重油よりコストが割安の石炭を使う苫東厚真一つにもっぱら依拠して発電をがんばる体制です。地震発生から1分後に2号機、4号機が緊急停止、その17分後の3時25分に最後の1号機が止まり、ブラックアウトにつながったと説明しますが、重油を使う伊達・知内や水力、そして北本連系の稼働状況も含め、十数分間の対応はどうだったのか。北電は説明が必要です」と指摘します。

 もともと胆振地方は、日高、釧路地方とともに、北海道でも地震多発地域です。苫東厚真発電所は、1970年代にはじまり、その後破たんした国家プロジェクト・苫小牧東部(苫東)工業基地開発で進出するはずの工業用でした。

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(写真)北電本社ビルに掲げられた横断幕は、節電の協力を求めるものだけでした=13日

 北電は、泊原発の原子力とともに、地震が多いこの苫東臨海部に大型の火力電力を集中させ主力にしつつ、ほかの中小の内陸火力などを閉鎖してきました。

 小坂教授は、「電力の安定供給より、コストを重視した発電所統廃合だった」としたうえで、「今回の対応も苫東厚真が地震などでダメになった時にどうするのか、リスク管理を考えていないと疑いたくなるような信じがたい対応でした」と批判します。

泊に数千億円

 「今回のブラックアウトは人災で、北電の不作為の責任がある」と話すのは、札幌学院大学教授の川原茂雄さんです。

 川原さんは、東京電力福島第1原発事故の教訓から学ぶことが重要だといいます。その教訓とは、どこかの発電所にエリア全体の電力を依存させたら、その発電所が事故や故障などで停止した場合、エリア全体が「ブラックアウト」するリスクが高まるため、それを回避する対策が重要だということです。

 北電は、2011年以降、何をやって、何をやらなかったか。

 道民には2度も電気料金を値上げしました。川原さんは「泊原発を再稼働させることに必要な安全対策と称して約2000億円を投入し、700億円ともいわれる年間維持費も7年続けてきて、道民のために1ワットも発電していない」と批判します。

 「私は原発廃炉派ですが、すぐには自然エネルギーが出てこないのでLNG火力発電所の早期実施を提案してきました。8年たって来年にようやく1号機ができるが、もっと早く動かしていれば、ブラックアウトは防げたと思う。原発をあきらめきれない北電経営陣の判断ミスです」と語ります。

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(写真)大型クレーンも使って復旧作業が続く苫東厚真発電所=13日

 「今回のブラックアウトは、再生可能エネルギーを主力にする政策にかじをきれない日本政府のエネルギー政策そのものに起因している」。こう話すのは、元北電職員で「原発ゼロをめざす旭川連絡会」の代表委員の水島能裕さんです。

 安倍政権は原発、海外炭火力、LNG火力の大規模電源を「ベース電源」として優先し、「ベストミックス」=電力の最良の組み合わせといっては、原子力を必ず主力にすえます。口先では「再生エネの最大限導入」といいながら、実際には邪魔をしていると実例をあげます。

 ―主力である風力を送電線に接続しない。

 ―固定価格買い取り制度でせっかく急伸した太陽光へブレーキをかける。

 ―バイオマス発電には十分な研究・開発費をかけない。

 原発のためには多大な送電線の投資をするが、風力・太陽光のために小さな投資をしない電力会社の姿勢の背景だと指摘します。

再生エネ転換

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(写真)脱原発と自然エネルギーへの転換を呼びかけた地震直後の「11日行動」=11日、札幌市

 今回の全域停電事故を教訓に、今後、どんな電力の供給体制に転換すべきか。

 さきの小坂教授や水島さんは「再生可能エネルギー・分散型電源に切り替えることを真剣に検討、実施すべきだ」と呼びかけます。

 とくに、北海道は太陽光や風力、バイオマス、地熱など再生可能エネルギーの宝庫です。今回の全域停電でも、企業や家庭などに普及した太陽光発電が非常用電源として大いに役立ったと話題になっています。

 さきの川原教授は、「『道民には節電を求める北電さん、あなたはどうするんですか』といいたい」といいます。大学での講義の傍ら、原発の危険と自然エネルギーへの転換などをテーマに出前市民講座を460回以上開いてきました。

 「活断層のそばでなくても震度7の地震が起きました。活断層のうえにある泊原発は、廃炉しかありません。原発や大規模電力に依存するシフトのチェンジを運動で迫りたいし、世論にも訴えていきたい」


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