しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年9月17日(月)

いま注目!「赤旗」のスクープと沖縄報道

 優れた報道を表彰する日本ジャーナリスト会議の今年度のJCJ賞に、「しんぶん赤旗」の核問題でのスクープが選ばれました。そのほかにも、「赤旗」ではスクープ報道が連続しています。在日米軍基地の7割が集中する沖縄の現実に迫る報道など、いま注目の「赤旗」報道を特集します。


写真

(写真)日本政府の「核なき世界」への妨害ぶりをスクープした「赤旗」3月4、5日付1面

JCJ賞受賞

核削減妨害の日本政府告発

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は今年度のJCJ賞を「しんぶん赤旗」政治部と外信部が報じた核問題のスクープに贈りました。

 日本政府が「核兵器のない世界」の実現を妨害していた事実を告発し、他紙や他党が次々に後追いするほどの反響を呼びました。

 現在、外務省のトップを務める秋葉剛男次官は2009年1月、オバマ前政権の核兵器削減に反対し、具体的な核兵器名まで挙げて核態勢の強化を求め、沖縄県に核貯蔵庫をつくることに肯定意見を述べました(当時駐米公使)。JCJの酒井憲太郎選考委員は、「『核の傘』、核抑止論がいかに危険かを実証し、核兵器禁止条約に反対する日本政府の源流を示すもの。きちんとメスをいれたことを評価したい」と講評しました。

 本紙は、秋葉氏の言質を示す米戦略態勢委員会の文書を独自入手し報道(3月4、5日付)。ウィリアム・ペリー元米国務長官は本紙に対し、秋葉氏が米国の核兵器削減に懸念を示していたことを証言。当時の大統領補佐官、ジョン・ウォルフスタール氏も「日本政府の典型的な意見だ」と苦言を呈しました。JCJ事務局長の橋詰雅博氏は「米国の当事者からも証言を得て日本政府の立場を裏付けた。今後も『赤旗』に期待しています」と話しました。

 沖縄県の地元2紙も本紙のスクープを大きく取り上げました。同県県議会は6月、政府に対し、非核三原則の堅持を求め沖縄への核兵器再配備を拒否する意見書を全会一致で可決しています。

 国会では、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、井上哲士参院議員をはじめ野党議員が追及。立憲民主党と国民民主党の議員は5月に訪米し、米文書を管理している米平和研究所(USIP)に情報開示を求めました。

 国会やメディアの追及を受けている当の秋葉氏はいまだに「思い出せない」と逃げつづけています。秋葉氏を外務次官に指名した安倍政権は4月10日、同氏の発言について「個別のやり取りの詳細を明らかにすることは差し控えたい」と閣議決定しています。

写真

政府監視の役割示してくれた 

軍事ジャーナリスト 前田哲男さん

 今回の「赤旗」の報道は、他紙が後追いするのにふさわしいスクープだと思います。政府を監視していくメディアの役割の重要性を痛感しました。

 核兵器に対する日本政府の見解の表と裏はこれまでも報じられてきました。ノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作元首相は核武装論者でしたが、「赤旗」はそうした政府が抱える矛盾の最新例を示してくれたと思います。

 外務省のトップが「非核三原則」という日本政府の公式見解と異なる見解を米政府に求めていたことは、極めて重大です。原則そのものを揺るがす発言だと言わざるを得ません。

写真

(写真)「赤旗」日曜版7月1日号

ヤマト引越不正

「日曜版」 実名出し追及 元支店長登場 証拠文書も

 「ヤマト水増し組織ぐるみ」(「毎日」)「ヤマト『倫理意識の欠如』 水増し請求 常態化」(「朝日」)―。1日付各紙は、1面などで大きく報じました。運輸大手ヤマトホールディングス(HD)が、引っ越し子会社による組織的な引っ越し代金の過大請求を認めたからです。

 この問題は「赤旗」日曜版(7月1日号)がスクープしました。元子会社支店長(65)が実名と顔写真付きで登場し、不正を告発。記者が直接、不正が行われた引っ越し作業を確認し、過大請求を裏付ける“証拠文書”も掲載しました。

 元支店長は7月2日、東京都内で記者会見しましたが、全国紙で報じたのはごくわずかでした。

 この状況を「大手メディアが黙殺する」と講談社のネット雑誌「現代ビジネス」の7月12日付記事は指摘しました。日曜版報道を「実況見分のような赤旗報道」と評価する一方、「他紙の『後追い』を嫌うマスメディアの習性はわからなくはないが、これは伝えておくべき問題だろう」と書いています。

 ヤマトHDは7月24日に会見し、山内雅喜社長らが謝罪。被害額が17億円であることを公表したものの、同社長は組織的な不正を認めませんでした。

 この謝罪会見を受け日曜版は、元支店長や現役社員らの証言から、「上司の指示・了承があった」(8月5日号)などと追及。8月31日に再び会見したヤマトHDは、「各地の支店で支店長レベルが不正を認知していた」「意図的、恣意(しい)的と思料される上乗せがあった」と組織的不正を認めました。

 「赤旗さんがやっているのは知っていたが、うちは最初、ヤマトの問題は扱えなかった」と明かすのは民放テレビ関係者。「恥ずかしい話だが、ヤマトは多くのコマーシャルを出してくれているので、やりにくい」と語ります。

 日本共産党は企業・団体献金を一切、受け取りません。共産党の機関紙である「赤旗」も大企業の広告などは掲載しません。だからこそ、大企業の不正を実名を出して追及できるのです。

写真

(写真)7月29日に掲載された連載「君臨するアマゾン」の1回目

アマゾンの闇

死者出す労働・税逃れ…

 米国のインターネット通販大手を取材した連載「君臨するアマゾン」(新シリーズ「資本主義の病巣」の第1弾)では、世界的な巨大企業の労働現場を取材しました。神奈川県小田原市にあるアマゾンの物流センター内で、熱中症や疲労骨折などの被害が続出する過酷な労働条件のもと、3人の急死者が出ている事実を報じました。税逃れの実態や、ルール違反の本の値引き販売なども追及しました。

 読者からは次々に感想が舞い込みました。

 「まさに『資本主義の病巣!』と、怒りがこみあげます」(埼玉県富士見市・女性・60歳)

 「期待していた通りの読み応えのある連載でした。連載最後のITUC(国際労働組合総連合)書記長の言葉『政府は99%の人々よりも、1%の人々の強欲に大きな関心を払っている』は日本にも通じます」(札幌市・男性)

 元朝日新聞社会部記者で軍事リポーターの石川巌さんからは「とても掘り下げた取材に感心しました。感想を書かずにいられない連載でした」と書かれたファクスが届きました。「まず狙いがよかったですね。『こん畜生め!』と思わずコブシを握ってしまいながら読みました」

 石川さんに直接話を聞くと、アマゾンのひどい労働条件については小田原物流センターで働く人に聞いて知っていたといいます。

 「アマゾンは税逃れもする国際無法者。道理の通らないことが世界を跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)しています。『赤旗』が書いてくれてよかった」

写真

(写真)シリーズ連載「ハンドルクライシス」第1部㊤(8月27日付)

バスの安全の危機

証言生々しく 背景に迫る

 2014年3月3日午前5時ごろ、富山県内の高速道路。仙台発金沢行きの高速バスの運転手(37)は突然、意識を失いました。暴走したバスはトラックに衝突し2人が死亡、26人が重軽傷を負いました。若く真面目だった運転手は、なぜ倒れたのか―。

 社会部のシリーズ連載「ハンドルクライシス―倒れる運転手たち」は、運転手の同僚の証言や入手した資料から、12日連続勤務を繰り返し、月280時間も働いていたことを告発。バス運転手の過酷な労働実態に迫りました。

 連載中から「バスの運転手をやっている家族の働きぶりとまったく同じ」など、読者からの反響が相次ぎました。

 連載では、1日15時間も働く「ロング」「中休」と呼ばれる過酷勤務や、睡眠が4時間しかとれないなど、現役運転手の証言を生々しく紹介しています。

 バスの運転手不足の背景にある政府の規制緩和や、公営バスの民間委託化と低い給料の現実などに迫ってきました。

 今後予定している連載の第2部では、全国から集めたバス事故に関する膨大な資料と現役運転手の証言をもとに、利用者の安全と運転手の健康・生活を脅かしている危機(クライシス)をさらに追及していきます。

写真

(写真)玉城デニー知事候補のインタビューや翁長知事の妻・樹子さんの思いを掲載した「赤旗」。大激戦の知事選を連日伝えています

新基地反対に共感“デニー知事候補必勝 私も”

沖縄の願い伝える

 「『オール沖縄』の報道は、沖縄の地元紙以外では『赤旗』しかわからない。メディアの多くは自民党総裁選ばかり」「『玉城デニー氏出馬表明』という記事を読んでたいへん感動している」―日本共産党本部に寄せられた「赤旗」読者の声です。

 翁長雄志知事の遺志を継ぎ、30日投票の沖縄県知事選で米軍辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」の代表としてたたかうデニー候補。「私も支援したい。『赤旗』で引き続き激励のキャンペーンをお願いします」(東京都新宿区の男性)など、日々の本紙報道に接して、全国に物心両面の支援の輪が広がっています。

 沖縄全域で相次ぐ米軍機事故。「普天間基地は市街地の真ん中にあるから危険だ。海辺の辺野古に移せば安全だ」という新基地建設合理化論が、まったくの偽りであり、普天間基地の無条件即時撤去こそ唯一の解決策であることを現場ルポ、特集企画などで浮き彫りにしてきました。

 翁長氏の遺志を受け継ぎ、新基地阻止、豊かで誇りある「新時代沖縄」の思いを熱く語った9月4日付1、3面掲載のデニー候補のインタビュー、翁長知事の妻・樹子さんが、翁長知事が亡くなる直前まで繰り返し語っていた県民への思いを渡久地修党県議団長に語った内容を紹介した9日付1面記事は大きな反響を呼びました。樹子さんの記事を読み「翁長知事の人柄や信念が改めてよくわかり、胸を熱くしました」という福島県須賀川市の男性(78)は、「直接の選挙応援は困難ですが、選挙募金は可能です。この際、妻の分も含めてささやかな募金を振り込みたい」と、デニー候補必勝を願うファクスを寄せました。

 辺野古新基地建設に反対する学者、文化人、弁護士らが発表した連名の「共同アピール」、米国をはじめ、世界の著名人らによる共同声明などの動きも報道。「たたかいに連帯する全国紙」として力を発揮しています。


pageup