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2018年8月29日(水)

墜落した群馬防災ヘリ 対地接近警報 搭載せず

全国に運用拡大、求められる安全対策

 群馬県中之条町の山中に墜落した同県の防災ヘリコプターが、地上との異常な接近を警告する対地接近警報装置(GPWS)を搭載していなかったことが28日、同県への取材でわかりました。航空法上、ヘリへの同装置の搭載の義務はありませんが、夜間や霧の発生など視界が制限された状況や山岳地帯での運航も想定される防災ヘリの運用が全国的に広がっており、安全対策の強化が求められています。(佐藤つよし)


 事故は、防災ヘリが、「ぐんま県境稜線トレイル」(登山道)全線開通に伴う救助体制整備のための視察で10日午前9時13分に群馬ヘリポートを離陸後、10時1分に長野県境の山中に墜落したもの。搭乗していた9人全員が死亡しました。

09年以降で4件

 自治体が運航する防災ヘリの墜落事故は、2009年以降、4件発生しています。いずれも、山岳地帯、山間地での救助活動や飛行中の事故です。(表)

 昨年3月5日、長野県松本市の前鉢伏山(まえはちぶせやま)東側斜面に同県の消防防災ヘリが墜落し、搭乗員9人が死亡した事故と今回の事故は飛行中でした。同じ米国ベル社製のベル412EP型で、GPWSは装備していませんでした。

 ベル社が発行しているカタログによると、同機には、地表面だけでなく前方から接近する山体なども探知し、音声や画面表示で警告、回避行動を指示する強化型対地接近警報装置(EGPWS)を追加装備できます。

 国土交通省航空局航空機安全課によると、対地接近警報装置は、航空機への安全装置装備を定めた航空法第60条に基づく同法施行規則第147条の2で、乗客9人以上または最大積載量5700キロ超のジェット、ターボプロップの飛行機への装備が義務づけられていますが、ヘリは対象になっていません。

自治体が独自に

 事故が頻発するなかで、防災ヘリを運航する自治体では、独自にGPWSの装備を始めています。

 昨年の墜落事故を受けて長野県は、「消防防災航空体制の在り方検討会」を設置。20年度から新たに導入する消防防災ヘリに同装置を装備する方針を決め、6月議会に提出した補正予算に購入費を計上しました。同県危機管理部消防課は「二度と事故を起こさない安全な運航体制をつくらなければいけない。新しい機体についても、安全のための装備品を購入する方向が打ち出された」としています。

 宮崎県では、04年10月に導入した防災救急ヘリ「あおぞら」(ベル412EP)に、EGPWSを搭載しています。

 頻発する自然災害、登山者の増加、遠隔地の救急搬送など、防災ヘリの役割は大きくなっています。国として安全装置の装備や操縦士の訓練など新たな基準、対策が必要になっています。

図

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