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2018年7月26日(木)

きょうの潮流

 2年前の衝撃を忘れることはできません。植松聖被告が、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」を標的にし、かけがえのない多くの命を奪った事件。障害者へのヘイトクライム(憎悪犯罪)に、全国の障害者や家族、関係者は「自分たちも同じように見られているのでは」と震撼(しんかん)しました▼「ヒトラーの思想が降りてきた」という同被告。犯行の根っこに優生思想が。衆院議長に宛てた手紙では、「経済の活性化」のためとして、重複障害者は安楽死した方がいいと訴えました。「障害者は不幸を作ることしかできません」とまで▼生産性や効率性、成果主義が押し付けられる社会。人の能力の違いに優劣をつけてしまうと“劣っている”人の尊厳を否定する優生思想につながっていきます▼「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」。自民党の杉田水脈(みお)衆院議員は月刊誌の寄稿でそう暴言を吐き、LGBT(性的少数者)カップルへの公的支援を批判しました▼子どもをつくるかどうかは個人の選択であり、これへの介入は自己決定権の侵害です。まして、「生産性」に結びつけ、税金投入の線引きにするなどは、優生思想そのものです▼障害者が障害のない人と同じように暮らせる社会を―。デンマークでレジスタンス運動に身を投じ、ナチスに抵抗した一人、バンクミケルセンが提唱した「ノーマライゼーション」から、優生思想を乗り越えるヒントが見えてきます。


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